2014 Fiscal Year Research-status Report
光硬化型MPCコーティング法を用いた“汚れない補綴装置”の開発
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26861653
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高橋 那奈 昭和大学, 歯学部, 助教 (80635061)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | MPC / 義歯 / デンチャープラーク / 誤嚥性肺炎 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究では、高いタンパク質吸着抑制性、細胞付着抑制性、生体親和性を持つMPCとBMA、MPAzの共重合体であるPMBPAzポリマーを、義歯表面に塗布後紫外線を照射してコーティングし、デンチャープラークの抑制効果を検証した。今回用いている方法は申請時に予定していた方法とは異なるものの、非常に簡便であるため、実際に臨床の場でチェアサイドで行うのに向いている方法である。 まず先立って基板上での基礎実験を行った。X線光電子分光分析と接触角試験によりコーティングが確実になされていることが確認された。その後高いバイオフィルム形成能を持つS.mutansを用いた細菌培養試験を行い、コーティングによってバイオフィルムの形成は約90%抑制された。この効果は基板を1週間水に浸積したのちも持続し、やはり約90%抑制される結果となった。 さらにこの基礎実験データから、実際の患者の義歯を用いたコーティング臨床実験も開始し始めている。(当研究機関での倫理委員会からの承認を得ている) コーティング前の義歯をプラーク染め出し液染色して写真を撮影し、コーティング後に患者に通常通り使用してもらい、再度来院した際にまた染色して写真を撮影し、画像をデジタル処理して染色範囲の比較を行った。その結果、現段階ではまだデータの収集段階ではあるものの、コーティングの前後でプラーク染色範囲に大きな差がみられるデータが出てきている。 安全な材料で簡便にコーティングを行えて、デンチャープラークの形成抑制ができれば、社会へのインパクトは非常に大きいと言える。今後は基礎実験、臨床実験ともにより確実なデータを得るために、必要な実験を追加しながらデータの精度を高めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度の研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると考えた。その理由としては、申請時に予定していた方法はコーティングを確実に行うためにはまだ課題があったため、より確実な方法に変更せざるを得なかったため、当初の予定通りに開始できてはいないものの、義歯と同一素材の基板を用いた基礎実験でもコーティングの効果を示すデータが得られ、また実際の患者の義歯を用いての臨床実験でも基礎実験の結果と矛盾のないようなデータが得られ始めているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進展している本研究であるが、今後は基礎実験におけるサンプル数を増加することや、細菌培養試験の菌種を増やすことなどによってさらにデータの精度の向上を狙っている。臨床実験も同様にサンプル数の増加がまだまだ必要である。また、コーティング前後の義歯を染色しそれを比較するというコーティング効果の検証方法だけでなく、実際のバイオフィルムの数の比較も行うべきであると考えている。実際にチェアサイドで簡便にしかも正確に菌数を割り出す方法についてはまだ検討段階であり今後の課題である。
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Causes of Carryover |
基礎実験や臨床実験を今後も進めていくための基板などの消耗品がまだ必要であるが購入に至っていなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ラボサイドでの基礎実験のための基板の購入や臨床実験での染色液の購入など主に物品費で使用していく計画である。
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Research Products
(3 results)