2014 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者に対するナノ構造制御新規インプラント材料の創製
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26861664
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
小正 聡 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70632066)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TNS / インプラント / ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,インプラント治療は補綴治療において欠かせない選択肢の一つとなり,全身疾患を持つ患者にインプラント治療を施す機会は増加している.その中でも,糖尿病患者に対するインプラント治療の機会は増えているものの確たるエビデンスはなく,オッセオインテグレーションの早期獲得が非常に重要であるとの報告がなされている.共同研究者は,純チタン表面に濃アルカリ修飾を行うことで,チタン金属表面上にナノレベルの構造を析出し,その構造がラットの骨髄細胞の硬組織への分化誘導能を向上させインプラントとして臨床応用するための可能性の一端を示した.そこで,本研究では濃アルカリ修飾によりチタン表面に析出されたナノ構造を糖尿病ラットに応用し,早期のオッセオインテグレーションを獲得できる新規インプラント材料の創製を目指す. 市販の純2級チタン金属板を10M水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、室温大気圧条件下で24時間撹拌させて反応を進行させた後、イオン交換水で導電率が5 μS以下になるまで洗浄し,自然乾燥させ,ナノ構造を析出させた。生後7週齢のGKラットの両側大腿骨から骨髄間葉細胞を採取後,3代目を実験に供した.培養7,14日後のALP活性および21,28日後のオステオカルシンの産生量およびカルシウムの析出量を測定した. ALP活性,オステオカルシン量およびCa量は全ての計測時間において,実験群で対照群と比較して有意差が認められた.以上より,糖尿病状態下においてもTNS構造が高い硬組織分化誘導を向上させるという結果が明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病状態を模倣したGKラットの骨髄間葉細胞培養下においても純チタン金属表面上へのTNS構造の付与によりラット骨髄細胞の硬組織分化誘導能の向上に寄与することを明らかにしたため.
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Strategy for Future Research Activity |
GKラットの下顎骨に数種のナノ構造析出純チタンを埋入する.評価は以下のものとする. 1.埋入後,1,2,4週後屠殺し,固定・包埋後にインプラント体を除去する.埋入部位の切片を作製し,チタン金属表面と骨の界面および周囲新生骨の観察を光学顕微鏡にて行い,オッセオインテグレーションの評価を行う. 2.埋入部位を含めた骨をそのまま除去し,ナノ構造析出チタンプレートと骨との接着について検討するため,引っ張り試験を行い検討する. 3.埋入インプラント周囲組織よりtotal RNAを分離し,cDNAを作製後,骨組織特異的な遺伝子について発現レベルを定量RT-PCR解析によって行い,インプラント周囲再生組織の骨分化の程度および血管新生の程度を評価する.
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Causes of Carryover |
年度末に購入済みである純チタン板の支払いが来年度となったため、一部残金が発生しております。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに購入済みなので問題ありません。
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Research Products
(8 results)