2014 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺細胞の長期安定培養法を用いた唾液腺機能再生療法の開発
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26861668
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
笠松 厚志 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60375730)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 唾液腺 / 長期培養 / ROCK作用薬 / 唾液腺再生療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットの唾液腺細胞を生体外でRock作用薬を用いて長期安定培養を行い、放射線照射による唾液腺萎縮モデルラットに細胞移植することで、唾液腺機能再生療法を新規に開発することを目的とする。具体的には「ラットの唾液腺細胞を長期培養法を実現して増殖させる」「カテーテルを用いて唾液腺萎縮モデルラットの顎下腺へ細胞移植する」「唾液腺機能回復の検証を行う」という3項目で研究計画を構築した。平成26年度の研究計画に基づき研究を実施した。 1、ラットの唾液腺細胞をRock作用薬含有培地にて培養を行い、形態および唾液腺マーカーの発現を確認した。Rock作用薬の有無によって引き起こされる細胞形態学的変化を、免疫細胞蛍光染色法(抗Phalloidin抗体)にて評価した。Rock作用薬を用いることにより細胞間接着が密になったが、Rock作用薬を使用しない場合は線維芽細胞様への形態変化が認められた。Rock作用薬の有無による唾液腺特異的マーカーの発現状況をRT-PCR法、ウエスタンブロット法にて確認したところ、Rock作用薬の使用により、唾液腺マーカー(アミラーゼ)のmRNAおよびタンパク質の発現は、唾液腺組織と同様に高い発現を維持していることが明らかになった。一方、Rock作用薬を用いなかった細胞では唾液腺特異的マーカーの発現はなかった。 2、カテーテルを用いてラット顎下腺への細胞移植法を確立した。カテーテルを用いてラット顎下腺への細胞移植法を確立するため、GFPラット由来唾液腺細胞をヌードラットの顎下腺に移植し、生着状態を蛍光免疫染色にて確認したところ、唾液腺導管周囲にGFP陽性の細胞を認め、生着が確認された。また、GFPラット由来唾液腺細胞の効率的な移植細胞数を免疫組織染色法にて検討したところ、良好な生着を認めた移植細胞数は2.0×106個であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は計画通りに実験が実施・進行しており、次年度の準備も開始していることから、平成27年度計画は着実に遂行可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
GFPラットおよびヌードラットを購入しラットモデルで唾液腺細胞治療の効果を確認する。次年度の研究費の使用計画 放射線性唾液腺萎縮ヌードラットの唾液腺機能回復の検証を行う。 1、ラットに放射線を照射し、放射線由来唾液腺萎縮ラットモデルの作製を行う。 2、GFPラット由来の顎下腺細胞をRock作用薬を用いて長期培養を行い、放射線によって萎縮しているヌードラットの顎下腺に移植する。 3、1週間おきに移植を行ったヌードラットの腹腔内にピロカルピンを注射することで唾液分泌を促し、唾液腺細胞移植群と非移植群の唾液量の変化を比較する。
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