2015 Fiscal Year Research-status Report
末梢血由来単核球とリン酸三カルシウム顆粒を用いた骨再生効果
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26861683
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
石井 麻紀子 明海大学, 歯学部, 助教 (00637986)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 骨再生 / 組織再生療法 / β-TCP / 末梢血由来細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織再生医工学においては、再生すべき組織に必要な細胞、足場材料、そして細胞の増殖因子の3要素に、適切な環境と時間が必要であることが知られている。この3要素の中でも特に、再生に必要な細胞として間葉系幹細胞を用いた再生療法は様々な分野で検討されているが、細胞を採取する際のドナーへの侵襲、培養操作に必要とされる細胞培養施設や移植に伴うコストなど、一般臨床の現場ではその実施が困難であり、改善の余地があるのが現状である。 移植材料は、一般的に生体親和性、生体内での吸収・置換性、さらに組織誘導能を有する材料が最も理想的であり、歯科医療の臨床の場でも実行可能であることが条件となるが、これらの条件をすべて満たす理想的な材料は現在も研究途上である。間葉系幹細胞は骨髄中に多く存在するが、末梢血においても一部存在することが示されており、この細胞をより安全・簡便に採取するため、近年、細胞分離用フィルターを用いた細胞分離法が開発されている。また採取した細胞が生体内で骨および歯周組織を再生するための足場として、供給量に制限が無く、生体内での吸収、置換が起きやすいβ-TCPに注目した。 そこで本研究は、組織再生医工学の細胞として、より簡便で生体への侵襲が少なく採取可能な末梢血由来単核球(peripheral blood mononuclear cells, PBMCs)を、足場材料としてはβ-TCP顆粒を用い、新たな骨移植材料の開発を行うこととした。 平成27年度は、以前行った細胞分離用不織布フィルター、β-TCP顆粒、PBMCsを用いたイヌにおける実験で作製した組織切片から、骨再生程度、状態を組織形態学的に評価し、今後の発展が可能であるかの確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初より3年間の研究計画を立てており、初期段階としての予備実験を行ったのち、実験の再現性を確認することができたが、その後の進展がやや遅延していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、追加実験として、末梢血由来単核球 (peripheral blood mononuclear cells) を不織布フィルターを用いて末梢血から採取し、β-リン酸三カルシウム (β-tricalcium phosphate, β-TCP) 微細顆粒 (β-TCP顆粒) と併用して移植材を作製し、実験的骨欠損部への移植を行い、骨再生効果を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は、予備実験結果の検討のみを行ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、予備実験の結果を検討するとともに、当初の計画を行った末梢血由来単核球および細胞分離用不織布フィルター、β-TCP微細顆粒を移植材として用い、骨再生効果の検討を行う予定である。
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