2014 Fiscal Year Research-status Report
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26861686
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
小野寺 晶子 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90637662)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 骨芽細胞分化 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではBMPにおける骨芽細胞分化のメカニズムの一端を解明するため、WNTシグナル経路、特にWNT阻害因子群に着目し、更なる詳細な分化メカニズムの解明とヒトiPS細胞から骨芽細胞へ分化させる際のより効率的な誘導条件の検討を行うことを目的とする。 本年度は正常ヒト歯周靱帯線維芽細胞hPDLFを使用し、骨芽細胞分化誘導培地(OBM)にて誘導を行った。このときOBMに、BMP2/7、DEXを添加した。リアルタイムPCR法にてWntシグナル関連遺伝子(SFRP1,SFRP2,DKK1,DKK2,SOST)の発現量を解析したところ、BMP2/7及びDEXの添加郡は非添加郡と比べWNT経路の阻害因子であるSOST,DKK2,SFRP2には顕著な発現の減少が見られた。またDKK2,SFRP2と拮抗作用を持つDKK1,SFRP1の発現は増加傾向にあり、互いに発現の調節を行っているフィードバック機構の存在が示唆された。またスクレオスチン(SOST)の添加により、BMP/DEXの添加によるアルカリフォスファターゼ活性の抑制が見られた。結果の検討を行うため、平成27年度は当講座で樹立した骨芽細胞分化の方法を用い、iPS細胞を用い骨芽細胞を獲得し同様の方法を用いて実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HPDLを用いた骨芽細胞分化の検討については概ね順調に行われているが、研究計画にある中和抗体の生成が滞っている。実験に必要な中和抗体の作成が難しい場合は市販の中和抗体の使用やリコンビナントタンパクの使用も視野に入れている。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度の予定通り、ヒトiPS細胞からの骨芽細胞への分化誘導を行う。 当講座では、RIKENからヒトiPS細胞(201B7株)をすでに購入済みである。また、現在疾患患者由来iPS細胞の樹立も行っており、いくつかの疾患においてiPS細胞の樹立をrt-PCR、テラトーマを用いて確認した。これらヒトiPS細胞を用い、落合らの骨芽細胞分化の方法で分化誘導を行いWnt関連遺伝子群の発現を検討する。口腔内における骨疾患は、歯周病や歯芽喪失による顎骨減少により問題が起きることがしばしばある。歯周病による歯芽喪失や顎骨量の不足により義歯の不安定化やインプラント埋入が困難な場合もある。特に唇顎口蓋裂患者においては、再建術において腸骨の採取を必要となる場合もある。作製した抗Wnt抗体を用いた患者由来のiPS細胞で骨芽細胞分化を検討することは侵襲の少ない治療を提供できる可能性につながると考えられる。
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