2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒト歯髄細胞スフェロイド由来神経組織と漢方薬剤を用いた新規中枢神経再生法
Project/Area Number |
26861689
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
肖 黎 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (80548256)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | スフェロイド / 歯髄幹細胞 / 神経再生 / 器官発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの器官形成は胚発生過程における胚性幹細胞スフェロイド中の細胞死、管腔形成と自発的な分化に関連性がある。こういう現象は胚性幹細胞を用いて部分的に再現できるが、成人幹細胞による管腔形成および器官形成はまだ報告されていない。本研究はヒト歯髄幹細胞を用いて、器官形成の過程における管腔形成及び自発的な分化を再現した。ヒト歯髄幹細胞は三次元培養下で大きなサイズのスフェロイドを形成し、その中心部には低酸素状態を示し、大量の細胞死が観察された。培養14日後、スフェロイド内部に管腔が形成された。28日後、生存細胞は自発的に神経系 (28.8%), 内皮系 (33.3%), 骨系 (46.7%)と軟骨系 (72.0%)の組織に分化した。それに対して、ヒト歯髄幹細胞シート由来の細胞塊は管腔様構造を形成したものの、多分化現象は観察されなかった。さらに、分子生物学的な手法で調べたところ、スフェロイドの管腔沿いに管腔形成関連分子であるBMP7とFGF3が発現し、その管腔形成が機能的であることが示唆された。結論として、ヒト歯髄幹細胞由来スフェロイドは器官発生中の細胞生存、管腔形成および自発的な分化を再現することが可能である(Xiao et al.,Biol Cell. 2014;106:405-419. )(Xiao et al., Neural Regeneration Research. 2014;9: 1253-1260.)(Xiao et al., Stem Cells Cloning. 2014;7:89-99.)
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.歯髄幹細胞由来スフェロイドは三次元培養下で自発的な神経分化能があることが観察された。この研究結果は国際誌に掲載された。 2.本研究を推進するために、関連分野の研究論文を数多く参考し、国際誌に総説2報を公表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.In vitroにおいて、炎症反応等微小環境の変化を有する中枢神経損傷病態モデルを開発し、微小環境改善および神経再生に有効な漢方薬剤をスクリーニングする。 2.新規中枢神経再生法(構築神経組織塊の移植+漢方薬剤の併用)をin vivoにおいて評価する。歯髄細胞スフェロイド由来神経組織塊を中枢神経損傷動物モデルに移植し、運動機能等の回復を評価する。移植同時に、漢方薬剤を投与し、その相加・相乗効果を検証する。 3.新規中枢神経再生法の安全性の確認と副作用の評価。 4.新規中枢神経再生法による機能回復機序の解明。
|
Causes of Carryover |
前年度には妊娠及び出産のことで、in vitro及びin vivoにおける中枢神経組織損傷モデルの作製に関する研究はできなかったため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度上記の研究を実施する際、実験動物および手術器具を購入する。
|