2015 Fiscal Year Annual Research Report
エキソソームによるmicroRNAの細胞間輸送システムの解明
Project/Area Number |
26861701
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大和地 正信 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70451747)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 臨床腫瘍学 / エキソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
エキソソームは脂質二重層に囲まれた細胞外小胞で, 血中に豊富に存在し, その中にタンパク質やmicroRNAなどの核酸を含んでいる. エキソソームは, 細胞間の情報伝達の介在ツールとして, 特にmicroRNAは相補的な遺伝子の発現抑制により, 正常細胞だけでなくがんの生物学的特性に重要な役割を果たしていることが示唆されている. このため循環血中のがん細胞由来エキソソームを検出することで, がんの早期発見に役立つことが期待される. 正常ヒト表皮ケラチノサイト(HaCaT)と口腔がん由来細胞株の培養液からエキソソームを単離し, エキソソームに含まれるmicro RNAを抽出, 逆転写しPCR Arrayを用いて培養液中のエキソソームに含まれるmicro RNAの発現状態について網羅的に発現解析を行った. その結果, 口腔がん由来細胞株およびその培養液で発現変動を示すmicroRNAが数種類認められた. 以前当科で行った口腔がん由来細胞株のPCR Arrayと比較したところ, miR-205-5p, miR-200c-3pは転移性の口腔がん由来細胞株の細胞内で発現低下を示したが, エキソソーム中では発現亢進を示した. Target Scan Humanで検索した結果, miR-200c-3pの制御する遺伝子は29あり腫瘍抑制性の傾向があり, miR-205-5pの制御する遺伝子は416あり, 腫瘍促進および腫瘍抑制両方に関する報告があった. 健常者と比較し, 口腔がんの唾液から抽出した検体ではmiR-205-5pは有意に発現亢進がみられた. 以上より, これらのがん細胞由来エキソソームは周囲のがん細胞に影響を与え, 転移しやすい環境をつくる可能性が示唆された. この現象を応用した遺伝子の発現制御による転移抑制治療への応用が期待される.
|