2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞接着装置の産生量減少による癌転移機構の解明と制御薬の検索・同定
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26861703
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
肥後 盛洋 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60724383)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | KLK13 / 口腔扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
Kallikreinsは、15の遺伝子を持つセリン・プロテアーゼ・ファミリーであり、多くのKallikreinsが癌に関係したバイオマーカーとして可能性があると報告されている。KallikreinファミリーのひとつであるKallikrein-Related Peptidase 13(KLK13)は主な 細胞接着装置であるcadherin複合体およびdesmosomeの構成因子の産生を制御し、主に前立腺などの腺組織に多く発現していることが知られている。本研究では、細胞接着装置異常に基づく癌転移機構の詳細を解析し、その制御薬を開発するために、口腔扁平上皮癌(OSCC)を用いてKLK13 にフォーカスを当てた。 102例のOSCC臨床検体におけるKLK13のRNAとタンパクの発現状態を調べたところ、正常口腔粘膜上皮と比較してKLK13のタンパク質の発現は有意に減弱しており、臨床的にKLK13の発現が低い症例ほど所属リンパ節転移を有意に多く認めた。KLK13の発現量と細胞接着関連遺伝子群であるcadherin複合体およびdesmosome構成因子との相関関係をreal time PCR法により評価したところ、有意に発現減弱を認めた。KLK13過剰発現株(oeKLK13)とcontrol株(Mock株)を作成し、細胞接着関連遺伝子群との相関関係を評価した。oeKLK13株では、Mock株と比較し全ての細胞接着関連遺伝子群のmRNA発現上昇があることをmRNAとタンパクレベルで確認した。本細胞株(oeKLK13)ではMock株と比較し浸潤能と遊走能が減弱していることが確認できた。oeKLK13株にshRNAを導入し、oeKLK13株の発現減弱株(oeKLK13-shRNA株)を作成し、浸潤能、遊走能および細胞接着関連遺伝子群との相関関係を評価した。oeKLK13-shRNA株では、浸潤能および遊走能は増強し、細胞接着関連遺伝子群のmRNAの発現減弱を認めた。今後、転移抑制剤の開発シーズとして、KLK13に作用する薬剤を検索、同定し、ヌードマウスへの移植癌に対する候補薬剤の転移抑制能を確認していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた研究計画には十分到達することができた。またこれまでの研究成果は、次年度以降の研究計画に大きく寄与できる内容であり、本年度の実績としては順調に進展している
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Strategy for Future Research Activity |
KLK13遺伝子のshRNA導入形質転換細胞と発現ベクター導入形質転換細胞を用いて、ヌードマウスに移植し、マウス各臓器への癌転移の有無を病理学的かつ遺伝子学的に明らかにし、KLK13遺伝子の発現状態と癌転移との相関関係の有無を検討する。また、転移抑制剤の開発シーズとして、KLK13に作用する薬剤を文献と遺伝子パスウェイ解析ソフト(IPA)を用いて検索、同定し、ヌードマウスへの移植癌に対する候補薬剤の転移抑制能を確認する予定としている。
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