2015 Fiscal Year Annual Research Report
メタボローム解析による唾液中の新規口腔癌診断マーカーの探索
Project/Area Number |
26861726
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岩本 和樹 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (90723833)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 口腔癌 / メタボローム解析 / 唾液 |
Outline of Annual Research Achievements |
種々の癌において簡易な検査で早期診断できる新規バイオマーカーの同定が、癌の早期発見そして早期治療による治療成績向上に必要不可欠であり、今後の最重要課題である。唾液は究極の非侵襲診断材料であり、唾液中には様々な代謝産物が含まれていることが知られている。そこで今回われわれは、唾液のメタボローム解析を用いて口腔扁平上皮癌(OSCC)患者に特異的な代謝産物の探索を試みた。唾液サンプルはOSCC患者70名、健常者28名より採取した。代謝産物の網羅的探索はキャピラリー電気泳動質量分析法(CE-TOFMS)で行った。健常者に比べOSCC患者の30%以上に唾液中に発現していた代謝産物を81種類同定した。それら81種類の代謝産物のうちOSCC患者と健常者の間でAUC0.5以上だった代謝産物を27種類同定した。23種類の代謝産物中ブタノエートのAUCが最も高く(0.6428)、OSCC患者において健常者に比べ統計学的有意に発現していた。さらに診断精度を向上させるため複数の代謝産物を組み合わせて多重ロジスティック解析を行った。その結果、複数の代謝産物を組み合わせ多重ロジスティック解析を行うことで、AUC=0.794と単独の代謝産物よりOSCCの診断精度が向上した。以上の結果よりCE-TOFMSを用いて唾液の代謝産物を網羅的に探索し複数の代謝産物を組み合わせて解析することでOSCC患者を診断できる可能性が示唆された。今後、さらなる症例を追加、蓄積し統合解析を重ねることで、さらに診断精度の向上を見込め、OSCCを唾液より非侵襲的かつ簡便に早期診断できる可能性がある。
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