2016 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation on the molecular mechanisms of the carcinogenesis and malignant transformation of oral cancer via DeltaNp63-mediated epithelial-mesenchymal transition
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26861729
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松原 良太 九州大学, 歯学研究院, 助教 (60615798)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / ΔNp63 / 上皮-間葉転換(EMT) / 浸潤・転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では癌の発生および浸潤・転移に関与していると考えられている上皮-間葉転換(epithelial-mesenchymal transition:EMT)に着目し、その制御分子であるΔNp63を介した口腔扁平上皮癌(oral squamous cell carcinoma:OSCC)の発生および浸潤・転移能の獲得機構を分子生物学的に解明することを目的として研究を行っている。現在までに得られた結果について以下に示す。 ①ΔNp63の発現抑制により、OSCC細胞株において線維芽細胞様の形態変化、細胞増殖活性の低下、細胞遊走能、浸潤能の亢進を認めた。一方、ΔNp63の過剰発現により、OSCC細胞株において多角形の細胞形態変化、細胞増殖活性の亢進、細胞遊走能、浸潤能の低下を認めた。 ②高転移OSCC細胞株においてΔNp63の発現は認められず、間葉系マーカーの強発現を認めた。 ③ΔNp63の過剰発現細胞とコントロール細胞においてDNA microarrayとmiRNA arrayを行ったところ、ΔNp63の過剰発現細胞で最も発現上昇を認めた分子はEMT関連のあるkallikrein related peptidase 6(KLK6)とmiR-205であった。 以上の結果より、OSCCにおいてΔNp63の発現減弱あるいは消失がKLK6やmiR-205を介してEMTを誘導していることが示唆され、浸潤・転移能の獲得に関与している可能性が推察された。本研究によりΔNp63を介した癌の発生および浸潤・転移能獲得の分子機構が解明され、ΔNp63 が癌治療の標的となり得るならば、抗癌剤、分子標的薬、外科治療等原発巣の治療が進歩した現在においても治癒が困難な頸部再発、遠隔転移の治療法の開発に大きく貢献でき、癌治療のパラダイムシフトとなる可能性があるため、意義のある研究であると考えている。
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Research Products
(2 results)