2015 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌幹細胞と関連するマイクロRNAの機能解析と新規治療法の開発
Project/Area Number |
26861736
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉田 遼司 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (10632458)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 口腔扁平上皮癌 / 浸潤 / 転移 / インターロイキン6 |
Outline of Annual Research Achievements |
内在性の低分子RNAであるmicroRNA(miRNA)は、遺伝子発現を精巧に調節していることが明らかになりつつあり、その制御システムの異常は癌の発生・進展にも大きく関わることが明らかになっている。一方、口腔扁平上皮癌(OSCC)において、癌細胞の浸潤・転移は患者予後を大きく左右しており、その調節機構の解明は癌治療の発展において重要である。我々はこれまで、高転移口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞株を樹立し浸潤・転移の研究を進めてきた。本研究では口腔扁平上皮癌(OSCC)の浸潤・転移機構を制御するmiRNAを同定し、そのmiRNAを中心とした新たな分子ネットワークの解明を目的とした。 本研究期間中に、①高転移性OSCC細胞株のmiRNAアレイから癌抑制型miRNA(以下、miR-X)を同定した。②miR-XはOSCCの浸潤能を制御していることが示唆された。③miR-X高発現OSCC細胞株のcDNAマイクロアレイ解析から浸潤・転移関連遺伝子IMR-1(仮称)を同定した。IMR-1はmiR-Xによって発現抑制を受けていた。④IMR-1発現量はOSCC臨床検体において浸潤様式、患者予後と相関し、in vitroでOSCC細胞株の浸潤能を制御していた。⑤miR-X高発現細胞株の同所異種移植実験にて、miR-XがOSCC細胞の転移能を顕著に抑制していた。 以上より、癌抑制型miRNAによる浸潤・転移関連分子の発現制御を介したOSCC進展機構の一端が明らかとなった。また、併せてOSCCの発生・進展に関わる複数のマイクロRNAやその標的遺伝子がOSCC患者の病態に与える影響について、若干の知見を得ることに成功した。なかでも、炎症性サイトカインIL-6については、各種アレイ結果からOSCCの治療抵抗性に深く関与していることを見出し、学会発表を行った。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] IL-6 confers radioresistance via Nrf2 antioxidant pathway in oral squamous cell carcinoma cells2015
Author(s)
Yuichiro Matsuoka, Ryoji Yoshida, Akiyuki Hirosue, Takuya Tanaka, Masashi Nagata, Kenta Kawahara, Hidetaka Arita, Junki Sakata, Hikaru Nakashima, Hidenao Ogi, Akimitsu Hiraki , Masanori Shinohara, Hideki Nakayama
Organizer
第74会日本癌学会学術総会
Place of Presentation
名古屋国際会議場(愛知県、名古屋市)
Year and Date
2015-10-08 – 2015-10-11
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