2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26861739
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大野 幸 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (00535693)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 三叉神経脊髄路核尾側亜核 / 単一ニューロン標識法 / 痛覚神経回路 / シンドビスウイルスベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔・顔面領域の痛み情報が大脳皮質へ伝えられる神経回路の中で、特に三叉神経脊髄路核尾側亜核(Sp5C)は痛みの感覚のみならず、不快感や恐怖感などの情動面や様々な自律神経系反応、そして痛みの調節機構(下行抑制系)など、痛みという感覚の持つ複雑さに直接関与していると考えられるため、この核のニューロンに着目し研究を開始した。 本年度はまず単一Sp5Cニューロンを可視化するため、1)Sp5Cニューロンへのウイルスベクター注入条件2)連続凍結切片の作製条件3) 染色条件の最適化を行った。次に得られたニューロンを検討したところ、当初メインでサンプリングを予定していた視床への投射ニューロンの数が非常に少なく、三叉神経脊髄路核内あるいはごく近傍領域への投射ニューロンの数が圧倒的に多い事がわかった。そのため、解析の対象を三叉神経脊髄路核内に軸索分岐をしていたインターニューロンに絞り、その形態を単一ニューロンレベルで再構築し、研究途中ではあるが得られた結果を学会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メインでサンプリング予定をしていたSp5Cから視床へ直接投射するニューロンがなかなか得られず、条件検討を繰り返し、そこに多くの時間を費やした。検討の結果、もともとSp5Cから視床へ直接投射するニューロンの数は非常に少なく、三叉神経脊髄路核内あるいはごく近傍領域への投射ニューロンの数が圧倒的に多い事がわかった。そのため、解析の対象を三叉神経脊髄路核内に軸索分岐をしていたインターニューロンに変更するなど、研究の方針が変更された事で当初の計画よりも多少時間がかかってしまった。しかし、方針変更後の最適な実験条件の検討も終わったため、遅れは取り戻しつつあると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1方針変更後の実験条件でのサンプルの収集: サンプル数をあと5サンプル集めN=10まで増やす。 2 集めたサンプルの3次元的な再構築とその形態学的かつ定量的解析: 収集されたサンプルを、デジタル標本作製システムを用いて網羅的に撮影して完全にトレースし、樹状突起および軸索を再構築する。 3 再構築したニューロンの局在と形態との相関関係を比較検討: 再構築したニューロンのSp5Cにおける局在と、細胞体の大きさ、樹状突起の広がり、樹状突起の分岐の数、軸索の投射先、軸索終末の数などの間に相関関係がないか詳細に比較検討する。 4 1~3で得られた所見より、Sp5Cの痛覚神経回路における機能を検討: 当研究で得られた形態学的所見を、これまでの生理学的研 究や分子生物学的研究などで得られた所見と照らし合わせ、Sp5Cニューロンの痛覚神経回路における機能を解明することを目指す。
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Causes of Carryover |
研究方針の転換により、大きな出費が必要となる可能性があったため、研究方針の確定した次年度へ繰り越しをする事とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
画像解析用の大型液晶ペンタブレットの購入費用にあてることとした。
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Research Products
(1 results)