2015 Fiscal Year Research-status Report
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26861761
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
山村 倫世 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70647883)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | TGF-β |
Outline of Annual Research Achievements |
血中から骨へ遊走した破骨前駆細胞は骨芽細胞とともに破骨細胞ニッチと呼ばれる安定した骨微小環境を維持し、破骨細胞へ分化していく。本研究では、破骨前駆細胞が微小環境内で遊走、定着する過程でのTGF-βの影響を検討した。TGF-β1およびTGF-β阻害薬(SB435142)を投与し細胞増殖能を検討したところ、細胞増殖への明らかな影響はみられなかった。また、TGF-β1の刺激によりRAWの細胞形態は円形から紡錘形に変化した。しかし、SB431542投与下では細胞形態は変化しなかった。TGF-β1およびSB431542を投与しRAWの細胞にRANKL投与を行い、破骨細胞への分化をTRAP染色で検討した結果、RAW細胞はRANKL投与により破骨細胞への分化が見られたが、SB431542の投与により分化は抑制された。そしてTGF-β1 刺激によりRAW細胞は遊走能が減少した。RAW細胞にTGF-β1およびその阻害剤であるSB431542,RANKL投与を行いRhoA,Rac1,Cdc42タンパクの発現をウェスタンブロット法にて検討した結果、 TGF-β1刺激によりRhoA,Cdc42の発現には変化は見られなかったが、Rac1の発現は減少した。 遊走性の高い破骨前駆細胞はTGF-β1の上昇した骨微小環境内で遊走能を消失し、骨リモデリング開始部に定着する。さらに骨芽細胞から提供されるRANKLにより、破骨前駆細胞はRac1発現の減少に伴い、安定,静止した破骨前駆細胞となり骨芽細胞とともに破骨細胞ニッチを形成し、破骨細胞へと分化していくと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の実験計画では、EMTを誘導するとされているTGF-βとsonic hedgehogをautoclineで産生する繊維芽細胞を遺伝子導入にて作成し、良性腫瘍細胞と破骨前駆細胞に作用させる予定であったが、遺伝子導入が困難であった。そこで細胞培養液にTGF-βを添加し、細胞方法に変更して研究を進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
単球系破骨前駆細胞が骨へ遊走してきた後、遊走性の高い単球系細胞がどのような機構で骨表面にとどまって破骨細胞へ分化するのかは不明な点が多い。体内の細胞は細胞外環境から絶えず張力など力学的な力が働いている。このような力学的シグナルが細胞増殖・分化・運動などに影響を及ぼすことが明らかになってきた。そこで、破骨前駆細胞の細胞外物理的環境の変化(血液中から骨)に依存する細胞運命決定機構におけるHippoシグナルの関与についても検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の実験計画では、EMTを誘導するとされているTGF-βとsonic hedgehogをautoclineで産生する繊維芽細胞を遺伝子導入にて作成し、良性腫瘍細胞と破骨前駆細胞に作用させる予定であったが、細胞培養液にTGF-β1試薬を添加し、細胞にTGF-β刺激を加える方法に変更して研究を進めているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞運動能の再検討、TGF-βの阻害薬を作用させてin vitroの実験では阻害薬、TGf-β1試薬等を購入し検討する予定である。 また、破骨前駆細胞の細胞外物理的環境の変化(血液中から骨)に依存する細胞運命決定機構におけるHippoシグナルの関与についての検討では、ultra-low attachmentディッシュや抗体、試薬等を購入し検討する予定である。
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Research Products
(2 results)