2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26861765
|
Research Institution | Fukui College of Health Sciences |
Principal Investigator |
木下 英荘 福井医療短期大学, その他部局等, 講師 (80601103)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ラマン分光法 / 扁平上皮癌細胞 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
1現代において癌は死亡原因の高率を占めており、口腔癌は、歯肉、舌、口唇、頬粘膜に発生する。その治療は化学療法、放射線療法、切除手術が適宜組み合わされ、切除手術が適用された場合、切除される組織や大きさは手術後の生活(咀嚼、嚥下、発音、顔貌など)に非常に大きな影響を与える。ラマン分光法は、非侵襲的に組織の情報を得る事が可能で、消化器癌では病理検査に加えて補助的に応用された報告がある。口腔癌でも侵襲を伴う生検による病理診断に代わる手法として、ラマン分光法を発展させたい。そのためには、口腔癌で最も発生頻度の高い扁平上皮癌組織の基礎的なラマン分光法による分析が必要である。ラマンスペクトルは、分子の指紋ともよばれ、分子の種類や構造がスペクトル上のピークとして検出される。扁平上皮癌の組織レベルの分析は、複数の分子成分や構造で、それらの局在をイメージングすることが可能となり、今回は、扁平上皮癌の細胞レベルの分析にいどんだ。サンプルは連続切片を作製し、一方をラマン分析に用い、他方をH&E染色し癌組織と癌細胞形態の確認を行った。同手法による扁平上皮癌細胞のイメージでは、phenylalanine、C-H結合やアミドⅠ結合などの分子構造は癌細胞質に優位に存在し、核酸は、核の領域に分布していることを分析領域内の相対的な濃度変化を含めて表現することが概ね可能であった。ラマン分光法は、空間分解能が高く分析対象領域を1ミクロン単位で測定が可能で、その特徴を生かすことができた。また、10ミクロン程度の癌細胞内の複数の分子や分子構造の局在を、一度の分析でイメージングすることもラマン分光法以外では困難と考える。ただ、もう少し、緻密に細胞外形や、細胞質、核を描出できたらより望ましかった。
|