2014 Fiscal Year Research-status Report
鎖骨頭蓋異形成症の矯正的歯の移動遅延の病態解明を目的としたRunx2の機能解析
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26861768
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青沼 智 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (70624823)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Runx2 / メカニカルストレス / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
Runx2/cbfa1は骨芽細胞分化の必須転写因子であり、メカノトランスダクションにおいても重要な因子である。Runx2遺伝子変異による鎖骨頭蓋異形成症患者は、主に口腔顎顔面に異常を呈し、歯の移動遅延が認められることから、矯正歯科治療が非常に困難である。申請者のグループは、同症の病態モデルである Runx2 ヘテロノックアウトマウスに実験的歯の移動を行い、野生型マウスに比べて歯の移動遅延を認めた。本申請研究は、これをさらに発展させ、Runx2 のメカニカルストレス応答機能の解析により、鎖骨頭蓋異形成症の骨病態を解明を目指す。 In vivoにおいて、Runx2ヘテロノックアウトマウスの歯に実験的歯の移動を行い、歯の移動の伸展側における類骨形成の遅延およびOSC mRNA発現の遅延と低下が認められた。In vitroにおいて、Runx2へテロノックアウトマウス由来骨髄間質細胞を骨分化誘導培地下で伸展したところ、Runx2へテロノックアウトマウス由来細胞のALP活性、OSC mRNA発現およびカルシウム量は、野生型マウス由来細胞に比べて遅延および低下した。また、細胞増殖を検討したところ、Runx2へテロノックアウトマウス由来細胞では野生型マウス由来細胞に比較し伸展によるDNA量の増加に遅延が認められた。野生型マウス由来細胞では、伸展によるERKやAKTのリン酸化が認められたが、Runx2へテロノックアウトマウス由来細胞では伸展によるERKのリン酸化は認められず、AKTのリン酸化が野生型マウスに比べて遅延していた。伸展によるJNKやp38のリン酸化は両マウスとも認められなかった。阻害剤を用い、伸展による細胞増殖が、野生型マウス由来細胞ではERKおよびAKTのリン酸化によること、またRunx2ヘテロノックアウトマウス由来細胞ではERKではなくAKTのリン酸化によることが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子欠損マウスのため、購入が難しくさらに動物舎の改装による移転先の動物舎における動物用のゲージが不足して繁殖が難しく、実験の必要匹数を得るのが困難なため。
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Strategy for Future Research Activity |
Runx2ヘテロノックアウトマウス由来骨髄間質細胞を骨分化誘導培地下で伸展すると、その骨分化は野生型マウス由来細胞に比べて遅延および低下した。さらに、Runx2ヘテロノックアウトマウス由来骨髄間質細胞の伸展による増殖促進は、野生型マウス由来細胞に比べて遅延した。伸展による細胞増殖はERKやAKTのリン酸化によることが認められた。これまでの研究結果を踏まえ、今後はメカニカルストレス負荷後のRunx2ヘテロ欠損による分化・増殖のメカニズムについて分子生物学的な研究を進める予定である。 具体的には、野生型およびRunx2ヘテロノックアウトマウス由来骨髄・歯根膜・骨芽細胞に、オリジナルの装置によるメカニカルストレス負荷後抽出したRNAやタンパクをマイクロアレイ法で解析し、メカニカルストレス応答因子を網羅的に抽出する。次に、Real Time PCR法やwestern blotting法で上記の因子のRNAやタンパク質の発現量を経時的に測定し、適宜阻害剤でシグナル分子を抑制しながら既知の因子との関係を解析する。ルシフェラーゼアッセイ等によりRunx2の活性を検証し、シグナル経路を網羅的に解析する。さらに、メカニカルストレスにより惹起されるRunx2のリン酸化やアセチル化等といった翻訳後修飾の活性に関連するペプチド配列を特定して様々な変異体を作製し、western blotting法、免疫沈降法、核run on アッセイ、ルシフェラーゼアッセイによりメカニカルストレスによるRunx2転写機能活性部位の解析を行う。Runx2が転写に関与していると示唆される因子については、ルシフェラーゼアッセイで、転写調節に重要なシスエレメントを同定してDNAのコンセンサス配列を解析後、EMSAやDNA固定化アフィニティクロマトグラフィでRunx2のDNA結合部位を確認し同領域の様々な欠損変異体を作成し標的遺伝子のRunx2の作用部位の解析を進める予定である。
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