2015 Fiscal Year Research-status Report
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26861783
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡本 奈那 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (60645216)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 先天異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天異常疾患の約3分の1の症例は顎顔面領域になんらかの奇形を伴うことが報告されている。顎顔面に発生する奇形は、機能面のみならず審美的影響が大きく、心理・社会的要因を含むことから、その原因解明、確定診断は治療への貢献度が高いと考えられる。今回、顎顔面領域に奇形を伴うがその原因が不明であり、遺伝的要因が強く疑われる患者を対象に、症例収集を行い、それらの全ゲノムに対して網羅的関連解析を施行し、原因遺伝子の同定を行った。 年間の症例数は、昨年1年間で男性7名、女性9名。本年度追加症例は男性1名、女性1名であった。症例収集については昨年度に予想以上の解析結果が得られ、新規変異を認めた症例に対してさらなる検証を併行して行っていたこと、原因不明の症例に限定して収集する対象を制限したことから本年度の症例収集数は少ない結果となった。 本年度に解析対象として選定した2症例については、全ゲノム解析後に得られた変異についてさらに詳細な解析を行う必要があり、当初の研究期間である2年間をまたぐことが予想されたため、期間延長を申請した。 また、初年度解析後に結果の得られた症例のうち、表現型-ゲノムとの連関評価目的で動物モデルでの再現を試みていたFRMD7の新規変異症例は、得られた変異で機能評価および動物モデルの安定した再現確立が困難であり、動物モデル作製まで到達することができず、遺伝子機能の解明には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間の2年間のうち初年度に3症例の新規報告ができた。 解析結果として予想以上に変異検出率が良好であり、比較的順調に進んだことから、前倒しで機能評価目的での動物モデル作製(ゼブラフィッシュに対してモルフォリノオリゴを用いたノックダウン実験)についても検討を行った。 機能解析については、顎顔面の奇形を評価するために、短期間で結果を得ることを前提にゼブラフィッシュを用いることを検証した。 wild-typeのゼブラフィッシュの顎顔面について、ヒト顎顔面の評価モデルとして適している動物モデルであるのかどうかをPilot studyとして検討した。結果として、ゼブラフィッシュ自体に系統や個体差があることが判明し、計測値では統計学的な差をだすことが困難と判断した。そのため、動物モデルを用いた機能解析については十分な結果を得ることができなかった。 しかし、次年度に収集した2症例(多発奇形・精神発達遅滞を伴う男性症例1例、大理石骨病の女性症例1例)についてはいずれも当初の研究期間をまたぐことにはなったが、現段階で全ゲノム解析は終了しており、結果として新規変異を同定できたことなどから、本研究目的である新規原因遺伝子同定に関しては2年間で5症例の新規変異を同定したことになり、新規変異検出率は約27.8%と概ね報告例と一致する基準であり、症例収集のための選定基準が問題なかったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に解析を行った新規の2症例(多発奇形・精神発達遅滞を伴う男性症例1例、大理石骨病の女性症例1例)については既に詳細な解析(全ゲノムシークエンス、マイクロアレイ法、FISH法を施行)が終了し、結果を得ている。 現在、これらについて新規変異としてデータベースへの登録と論文のための準備を行っている。
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Causes of Carryover |
本年度収集した2症例に対して、解析が当初予定していた研究期間内に終了しないことが予想された。 初年度に解析を行ったStickler症候群のCOL11A1新規変異について、第13回国際人類遺伝学会(International Congress of Human genetics)においてポスター発表を行う予定である。 そのための経費を計上し、期間延長を申請した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究期間に詳細な遺伝子解析が終了しないと見込まれた2症例(多発奇形・精神発達遅滞を伴う男性症例と大理石骨病の女性症例各1例ずつ)については、現時点で各種遺伝子解析(全ゲノムシーケンス、マイクロアレイ法、FISH法)が終了し、病因遺伝子としてのin Sillico評価を行い、新規変異であることを同定した。よって、今後の研究計画として、新規変異としてデータベース登録と論文作製準備を予定している。 また、初年度解析症例である眼振の原因遺伝子として新規に変異を同定したFRMD7症例の機能解析は行わない。 第13回国際人類遺伝学会(International Congress of Human genetics)において初年度解析で結果を得た、Stickler症候群の新規変異についてポスター発表を行った。
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Research Products
(5 results)