2014 Fiscal Year Research-status Report
機械的刺激による下顎頭軟骨細胞分化を制御するmicroRNAの解明
Project/Area Number |
26861792
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
星 健治 九州大学, 大学病院, 助教 (90569964)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 下顎頭軟骨 / 間葉系幹細胞 / 機械的刺激 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
軟骨細胞の分化は機械的刺激により影響を受け、機械的刺激の方向に依存し制御されると考えられる。しかし、こうした軟骨細胞分化における指向性のある機械的刺激に対する応答の詳細については不明な点が多い。申請者は、こうした機械的刺激に対する軟骨細胞分化を制御する因子の一つとしてmicro RNA (miRNA)を考え、これに着目し、下顎頭軟骨細胞の機械的刺激の負荷による分化や増殖の制御のメカニズムを検討することとした。 はじめに、マウス下顎頭軟骨由来の間葉系細胞を単離し、このマイクロマスカルチャーを行い、軟骨細胞への分化を検討した。また、その際の適切な細胞密度を検討した。胎齢14日ICRマウス胎仔の下顎頭を摘出し、これをトリプシンとⅡ型コラゲナーゼの混合溶液で処理をし、間葉系細胞を単離した。単離した細胞は2×106、4×106、6×106個/mlに10%FBS含有DMEMにて懸濁し、BioFlex培養プレートのウェル中央に50μlの滴状に播種した。3時間後、培地を追加し、7日間培養した。7日後、アルシアンブルー染色を行い、軟骨細胞への分化を検討した。2×106個/mlの細胞密度の群では陽性像はほとんど認められなかったが、4×106、6×106個/mlの細胞密度の群では陽性像が多く認められた。 申請者はさらにBioFlex培養プレートを用いた機械的刺激を行う際の歪みの大きさを検討している。培養ウェルに凸面を形成させた際、中心部付近に生じる伸展歪みの大きさを有限要素解析により検討しており、これは現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス胎仔下顎頭由来間葉系細胞の単離に際し、下顎頭軟骨の摘出を適切に行う技術の習得にやや時間を要した。下顎頭軟骨は胎齢14日では柔らかく、また周囲は多くの軟組織により被覆されている。よって、これら軟組織に由来する細胞のコンタミネーションが当初多く認められた。しかし、現在はこの問題は手技の洗練により克服された。 一方、機械的歪みの大きさの定量にもやや時間を費やされている。従来使用していたBioFlex培養プレートから規格が変更され、培養ウェル底面のシリコーンゴム製薄膜の厚みが変化した。これに伴い、再度機械的歪みの大きさの定量を行う必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
はじめに、培養ウェル中に生じる機械的歪みの大きさの定量を終了させる。その後、これに準じ、歪みの大きさを幾通りかに設定し、機械的刺激を与える。現在進行中である伸展歪みの負荷より行う予定である。細胞は、伸展力の大きさの検討を行う初期の段階では軟骨前駆細胞株であるATDC5を用いて行う予定である。細胞が剥離されず、また分化への変化を来すような伸展力の大きさを検討する。軟骨細胞への分化の検討はまずはアルシアンブルー染色にて行う予定である。 上記検討より決定された伸展力をマウス胎仔下顎頭軟骨由来の間葉系細胞に対し負荷し、この時の分化の変化をATDC5にて行った場合と比較、検討する。マウス胎仔下顎頭軟骨由来の間葉系細胞を用いた伸展力負荷培養の系が安定した後、miRNAを含めたtotal RNAの抽出を行い、マイクロアレイ解析を行う。これにより、伸展力負荷に伴い特徴的に変化するmiRNAを同定する。 同定されたmiRNAを、マウス胎仔下顎頭軟骨由来間葉系細胞に対しリポフェクション法により遺伝子導入する。遺伝子導入された細胞に対し、伸展力負荷を行い、この時の細胞増殖や分化の変化を検討する。増殖の検討は市販の増殖アッセイキットを用いて行う。また分化の検討は、リアルタイムPCR法によるcol2a1やsox9などの軟骨関連遺伝子の発現量の定量により行う予定である。
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Causes of Carryover |
細胞の単離の手技の洗練、また、細胞密度や細胞に負荷する歪みの大きさの検討などといった実験条件の検討に時間を費やした。これにより高額な費用を要するマイクロアレイ解析なども行えておらず、また試薬の購入等も本年度は少なかった。よって、多くの残金が発生したものと考えれる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験条件を早い段階で決定し、マイクロアレイ解析を進める。また、その他の検討も試薬等を購入し、順次進める予定である。
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