2014 Fiscal Year Research-status Report
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26861799
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
佐々木 会 明海大学, 歯学部, 助教 (60580230)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 開口反射 / 電気生理 / 矯正治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
矯正治療は不正咬合の改善や審美的な要因から求められ,小児から成人まで幅広い年齢層を対象として行われている。矯正処置を開始して間もない時期には,患者の多くは頬粘膜に生じる矯正装置由来のびらんや歯の移動に伴う激しい疼痛を訴える.このような激し い疼痛は,摂食障害を引き起こし,矯正治療継続に対するモチベーションを低下させる原因となる.歯科領域の疼痛管理には酸性非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が頻用される.NSAIDs は,シクロオキシゲナーゼを阻害してプロスタグランジン(PG)類の産生を抑制し,炎症部位で鎮痛・消炎効果を示す.しかしながら,NSAIDs の投与が疼痛緩和とともに破骨細胞の抑制(骨吸収抑制)を引き起こすことから,歯の移動を目的とした治療時にNSAIDs の投与は避けるべきと考えられている.これらのことから,歯の移動時の疼痛管理については有効な手段がなく,患者の苦痛軽減のためにも確立が強く求められている. 我々は, 動物モデル作製として、上顎両側門歯と上顎右側第一大臼歯をニッケルチタンコイルスプリング矯正装置にて連結し,30~50 g の矯正力を負荷するもでるを作製. ラットを矯正装置装着から1日ごとに7日目までの群に分け,以下の実験に用いることとした. 歯の移動量の定量評価:矯正力付加後1,3,7日歯の移動量を精密に計測し左右差を検討する.頭部回避閾値の経時的変化の評価:矯正スプリングが装着されたラットの鼻根部をvon Freyhair にて刺激し,頭部を回避させる刺激強度(回避閾値)を左右で検討する.開口反射誘発閾値の経時的変化の評価:電気刺激用の電極を上下左右の第一大臼歯部に留置し,開口反射が生じる刺激閾値を測定する. 現在、予定していたデータの取得はほぼ達成され、第56回歯科基礎医学会,Neuroscience 2014,第73回日本矯正歯科学会大会にて発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の内容として、頭部回避閾値の経時的変化の評価、開口反射誘発閾値の経時的変化の評価、TRAP 染色にて破骨細胞浸潤を矯正側と非矯正側で比較、GFAP にて免疫染色し、活性化サテライトグリア細胞の分布特性を囲まれた神経細胞の数と合わせて評価、本モデルを用いた歯の移動に影響を与えない鎮痛薬の探索があげられるが、現在免疫染色、鎮痛薬の探索以外はおおむね順調に進行し、データを取得している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,電気生理学的検討と解剖学的検討を効率よく進める.新規治療薬の探索には上記の他に,酸感受性受容体のTRPV1受容体のアンタゴニス(caspazepine:3mg/kg,ip,3回/日)やプリン受容体のP2X2/3受容体のアンタゴニスト(TNP-ATP:1 mM,7.5 mg/0.01 ml,歯根部に浸潤注射)なども候補物質とし,実験の進捗状況に応じて適宜投与薬物を変更する.本申請の研究は,電気生理学的検討ならびに解剖学的検討ともに,本学歯学部矯正学分野の須田直人教授と薬理学分野の安達一典准教授の指導・協力のもとで進められる。同准教授の研究室では,筋電図採取の実験ならびに軟硬組織の形態観察を大学院生や専攻生が行っており,彼らの協力も得て効率よく研究を進める。
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Causes of Carryover |
実際の計画よりも物品費用が少なかった。計画していた実験動物を購入せずに済んだことが大きい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度分の動物実験購入費で本年度追加の実験を行う。
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