2015 Fiscal Year Annual Research Report
局所的フルバスタチン応用による新たな矯正歯科治療の検討
Project/Area Number |
26861800
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
石井 武展 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (80433978)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フルバスタチン / 上顎側方拡大 / 歯根露出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、骨誘導能を持つフルバスタチンの局所応用により,歯槽突起とくに外側への骨形成を人為的に行い,矯正歯科治療における偶発症の予防(歯肉退縮に伴う根面露出)の可能性について検討した。本研究では実験動物モデルを用いて、実験群には上顎臼歯部頬側にフルバスタチンによる人為的な骨造成を行い、対照群および偽実験群とを比較した。実験結果として、まずフルバスタチンの至適濃度を調べるために、細胞培養実験を行った。MC3T3-E1細胞を用いて、1nM,10nM,100nM,1uMのフルバスタチンを添加しWST-1による細胞増殖、培養から7日後のアルカリフォスファターゼ活性、21日後のアリザリンによる石灰化の測定、7,14,21日後の石灰化関連mRNAを計測した。その結果、MC3T3-E1細胞では10nMのフルバスタチンを応用することでコントロールに対して細胞増殖、石灰化を促す結果となった。この結果を念頭に置き、10週齢雄性C57BL6/Jマウスの上顎に.012"ラウンドワイヤーにより作成した拡大装置を4mm拡大して装着し、術前後の上顎側方拡大量を確認後、頬側歯槽骨より出た歯根露出面積を計測した。非拡大群、拡大群、拡大および10uMフルバスタチン局所投与群の3群に分けた。上顎歯列の側方拡大は約2週間行い、1週後にカルセインを2週後にアリザリンを骨ラベリングのために腹腔内に投与した。その後、非脱灰標本切片を作成し上顎臼歯歯根部の頬側歯槽骨部を共焦点レーザー顕微鏡で顕鏡しフルバスタチンの効果を確認した。その結果、フルバスタチン投与群と非投与群を比較したところ拡大量は同じであったが頬側の歯槽骨の吸収がフルバスタチン投与群のほうが抑制された。従って、矯正歯科治療によるフルバスタチンの局所応用は、歯槽骨の骨芽細胞の石灰化を促し歯根露出などの偶発症を予防できる可能性が示唆された。
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