2014 Fiscal Year Research-status Report
歯科矯正治療による歯周組織の傷害と回復の分子調節機構の解明
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26861804
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
村岡 理奈 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (20549430)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯科矯正学 / 歯周組織 / 歯根膜 / リモデリング / 組織修復 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに、歯科矯正治療による歯周組織の傷害と回復の分子調節機構の解明のため、申請者は歯科矯正学的歯の牽引モデル動物の作製を行い、歯周組織を構成する細胞ならびに骨髄幹細胞の多分化能に関する研究を行ってきた。歯科矯正学的モデルマウスにおいても、歯科矯正学的歯の牽引時における歯周組織の変化では、歯科矯正力というメカニカルストレス負荷後の歯周組織におけるHSPをはじめとした各種タンパクの陽性反応を確認した。また骨髄幹細胞の歯牙構成細胞への分化能に関する研究ではGFPマウス骨髄細胞移植実験系において、骨髄幹細胞が破骨細胞、歯根膜線維芽細胞、歯および歯周組織構成細胞に分化することを確認した。骨髄幹細胞が歯牙組織および歯周組織を形成する多くの細胞への分化能を有していることは、骨髄幹細胞を用いた歯科矯正学的治療応用への可能性を示している。歯科矯正学的牽引時の歯根膜組織に対するメカニカルストレス負荷の結果、積極的な歯根膜のリモデリングが行われている部位に骨髄幹細胞由来の同幹細胞の存在が確認され、これら一連の歯の牽引時における骨髄幹細胞の機能解明を行って、リモデリングの盛んな部位に骨髄幹細胞を供給することができれば、効率的な「歯の移動」が可能になると考えられる。すなわち骨髄幹細胞の誘導、歯周組織のリモデリング、組織修復の促進、効率的な治療の発案につながると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GFPトランスジェニックマウス由来骨髄移植マウスおよび、歯科矯正学的歯の牽引モデルマウス(歯科矯正実験モデルマウス)の作製を当初の予定通り完了した。これらの実験動物により歯の移動実験を行い、同動物の免疫組織学的検討を行い、歯科矯正学的メカニカルストレス負荷によるマウス歯周組織のリモデリング、組織修復、ホメオスタシス機構に関与するタンパクの検討と歯の移動時の骨髄幹細胞の動態を解析し、機能の検討を行った。骨髄幹細胞由来の歯根膜線維芽細胞を同定し、骨髄幹細胞の歯根膜線維芽細胞への分化機構を明らかにした。 これらの研究成果は国内外の学術大会にて一部公表しており、実施計画の点からも公費研究としての観点からも順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに、矯正学的歯の移動、歯周組織リモデリングにおける歯周組織構細胞の動態を詳細に追及していくようにする。とくに骨髄幹細胞の分化誘導に関する知見を得るため、詳細な組織学的検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入価格が低下よりも安価であったことが、次年度使用額が生じた理由である。その他の理由としては研究の進行状況において、追加実験および再実験に関する実験動物や試薬の追加購入に必要な費用が、当初見込んだ額に達しなかったことも挙げられる。 また、研究成果報告を行うために当初予定していた学術大会にて発表を行わなかったことも挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該研究費は、平成27年度の試薬等購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)