2014 Fiscal Year Research-status Report
慢性歯周炎でのメカニカルストレスに対するTRPV4の役割の解明
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26861806
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
鈴木 允文 明海大学, 歯学部, 助教 (60638518)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メカニカルストレス / 歯周病 / 骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病において過剰な咬合力は急速な歯槽骨吸収を引き起こすとされ、そのメカニカルストレスは咬合性外傷として呼ばれている。これまでラットやビーグル犬による動物実験モデルから歯周病を伴う咬合性外傷は歯槽骨吸収の原因のひとつであることが示されてきた。しかしながら、その分子メカニズムは未だ不明な点が多い。 本研究では骨芽細胞に発現するメカニカルストレス応答性イオンチャネルTransient Receptor Potential Vanilloid 4(TRPV4) に着目し、慢性炎症条件下でのメカニカルストレスに対する反応を調べることで、慢性歯周炎での咬合性外傷による歯槽骨吸収の分子メカニズムの解明を目的とした。 平成26年度は、細胞増殖期において歯周病原細菌Porphyromonas gingivalis(P.g)由来のLPS存在下での細胞増殖度と、さらにストレスを付加した場合の細胞増殖度、ならびにそれぞれのTRPV4の発現レベルを検討した。平成27年度は、平成26年度の結果を踏まえ、慢性炎症を想定した長期培養、細胞分化期でのP.g由来のLPS存在下での細胞分化度と、さらにストレスを負荷した場合の細胞分化度、ならびにそれぞれのTRPV4の発現レベルを検討する。またTRPV4は主としてカルシウムイオンを透過する非選択的陽イオンチャネルであることからP.g由来LPS条件下での細胞内カルシウム濃度変動の解析を行う。一方、歯周病モデルマウスに対し、実験的に咬合性外傷を作成し、歯槽骨吸収度やTRPV4、骨関連マーカーの発現を組織学的に評価する動物実験を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は炎症とメカニカルストレスにおけるTRPV4の役割の解明として、まず細胞増殖期での検討を行った。骨芽細胞様細胞MC3T3-E1細胞を用い、①P.g由来LPSの濃度による骨芽細胞の細胞増殖度とTRPV4の発現レベルの変化、②流水ストレス負荷時の骨芽細胞の細胞増殖度とTRPV4の発現レベルの変化、③P.g由来LPS添加条件下での流水ストレス負荷時の骨芽細胞の細胞増殖度とTRPV4の発現レベルの変化を検討した。計画当初は細胞へのメカニカルストレスとしてシリンジポンプを用いた流水ストレスを予定していたが、ストレスの負荷時間延長の都合上、プレートを振動装置に設置することで発生する流水ストレスへと変更した。振動装置によるメカニカルストレスはストレス強度をシリンジポンプほど正確に規定することできないが、実験系が簡便であり、同時に多くの細胞集団に一定のストレスをかけることが可能であることから利点も大きい。計画に若干の変更点はあるものの、現時点ではおおむね良好な進捗状況であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は平成26年度に行った細胞増殖期での結果を踏まえ、細胞分化期における検討を行う。骨芽細胞様細胞MC3T3-E1細胞を用い、①P.g由来LPSの濃度による骨芽細胞の細胞分化度とTRPV4の発現レベルの変化、②流水ストレス負荷時の骨芽細胞の細胞分化度とTRPV4の発現レベルの変化、③P.g由来LPS添加条件下での流水ストレス負荷時の骨芽細胞の細胞分化度とTRPV4の発現レベルの変化を検討する。またTRPV4は主としてカルシウムイオンを透過する非選択的陽イオンチャネルであることからP.g由来LPS条件下での細胞内カルシウム濃度変動をカルシウム蛍光プローブを用い、測定する。一方、動物実験としては歯周病モデルマウスに対し、臼歯部に実験的に咬合性外傷を作成し、歯槽骨吸収度やTRPV4、骨関連マーカーの発現の組織学的評価を行う。
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Causes of Carryover |
既存の実験器具、試薬を利用することが可能であったこと、ならびに条件設定を行っていたため予定していた動物実験を行わなかったことから次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には細胞実験と並行して動物実験を開始することから新たな実験器具、試薬、実験動物の購入を予定している。
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