2014 Fiscal Year Research-status Report
歯周治療への応用に向けた、新規の機能水の特性の解明
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26861807
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
早雲 彩絵 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (60634128)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オゾンナノバブル水 / 殺菌能 / ウイルス不活化能 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は歯周病原細菌により引き起こされる慢性炎症性疾患であり、歯周治療の目的は細菌バイオフィルムを除去することである。近年、従来の機械的デブライドメントに加え、補助的療法として消毒剤を局所応用する試みが多数報告されている。我々は、オゾンの強力な殺菌能とナノバブルの長期保存性を併せ持つオゾンナノバブル水(NBW3)を歯周治療に応用することを目的とし、研究を行っている。これまでに、NBW3の歯周病原細菌に対する強力な殺菌能と口腔組織に対する高い安全性を確認し、実際に歯周治療の補助的療法としてNBW3を使用した際の臨床的・細菌学的効果についても報告した。 本年度は、NBW3の殺菌メカニズムを明らかにするため、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、NBW3を作用させた歯周病原細菌の微細構造の変化について観察を行った。また、NBW3のウイルスに対する効果を検討するため、 プラーク法を用いてウイルス不活化試験を行った。さらに、TEMを用いてウイルスの微細構造の変化についても観察を行った。NBW3を作用させた歯周病原細菌をTEMにて観察したところ、細胞壁の障害及び細胞質内におけるタンパク凝集が認められた。NBW3を作用させたインフルエンザウイルスでは、ウイルス粒子が壊れて凝集したと考えられる黒い塊が観察された。SARS-コロナウイルス液にNBW3を10秒間作用させ、10-5希釈した希釈液を感受性細胞に播種したところ、ウイルスに感染して細胞変性を起こした部分(プラーク)がコントロール群と比較して1/10以下に減少した。さらに、60秒間NBW3を作用させたものではプラークは全く観察されなかった。本研究より、NBW3はインフルエンザ、SARS-コロナウイルスに対し強力な不活化能を有することが示唆された。NBW3の詳細な殺菌・抗ウイルスのメカニズムについては、今後も検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NBW3を作用させた歯周病原細菌及びウイルスの微細構造の変化については、TEMを用いての観察を終了した。また、ウイルスの不活化試験も終了している。今後、より詳細な殺菌・ウイルス不活化のメカニズムについて検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、より詳細な殺菌・ウイルス不活化のメカニズムに関して検討を行う予定である。また、従来の予定どおり、NBW3による歯周治療後の菌血症予防効果について、臨床研究を行い、検討する予定である。
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