2015 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織構成細胞を介した高血糖・高飽和脂肪酸による炎症誘導と自然免疫の影響
Project/Area Number |
26861812
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柏木 陽一郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20598396)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯周病 / 糖尿病 / 高血糖 / 歯肉上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性疾患である歯周病と糖尿病は相互的にリスク因子として位置付けられ、病態の複雑化と治療の困難性に影響を及ぼしているといわれている。しかし、両疾患を結び付ける病態メカニズムの詳細は十分には解明されていない。本研究では、歯肉上皮細胞株epi 4を用いて正常時(glucose 6 mM)と比較し、高血糖(25 mM)の作用により歯肉上皮細胞において好中球の遊走を促すIL-8 のmRNA発現が培養48、72時間にて上昇することが明らかになった。同条件にて培養した歯肉上皮細胞の培養上清中のIL-8タンパク量をELISA法にて測定した結果、高血糖条件下において有意に発現上昇していることが確認された。この発現増強は他の2つの歯肉上皮のcell lineでも再現された。このことより高血糖はそれだけで歯肉上皮細胞に対して炎症を惹起する作用を示すと考えられる。また同条件にて炎症性サイトカインとして知られているCCL2、TNF-aについても発現上昇が認められた。この現象は抗酸化物質であるN-アセチル-L-システイン (NAC)(N-acetylcysteine)とProtein kinase C (PKC)シグナル阻害薬であるRo31-8220によって解消されることも示され、酸化ストレスシグナルとPKCシグナルが関与していることを明らかにした。一方で、高血糖条件ではporphyromonas gingivalis菌のレセプターであるToll like receptor2 (TLR2) のmRNA発現も上昇した。TLR2タンパク発現変化についてウエスタンブロット法による観察とFACS法を用いて確認した結果、発現が上昇していることが確認された。これらのことは基礎疾患として糖尿病を有する歯周病患者の病態分子メカニズムを明らかにする可能性を示した。
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