2014 Fiscal Year Research-status Report
TGF-bとナノDDS技術を応用した次世代の歯周組織再生療法の開発
Project/Area Number |
26861813
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
下江 正幸 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60580264)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯周組織再生 / ナノDDS / リポソーム / 分子イメージング / IVIS / 歯周炎モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、簡便で効果的な歯周組織再生療法の開発が歯科医師と患者の双方から求められている。 そこで、再生を期待する部位特異的に薬剤を集積させることが可能である薬物送達システム:ナノDDS に注目し、歯肉上皮の増殖抑制や、歯根膜の分化・増殖を促進するといった作用を有するTGF-bを内包する薬剤の候補として、次世代の歯周組織再生療法の基盤を開発することを目的に本研究を行った。 平成26年度は、炎症指向性リポソームが炎症を起こしている歯周組織へ集積することを分子イメージングを用いて検証した。 当初の研究計画ではラット歯周組織創傷治癒モデルを作成し、K1 糖鎖結合リポソーム(Cy5.5 内包)を適用する予定であったが、より臨床に即した、歯周炎組織の治療(組織再生)を想定して、進行度の異なったマウス歯周炎モデルを作成することにした。 すなわち、マウスの上顎第二大臼歯に、歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis(Pg菌:膿瘍形成株W83)を染みこませた絹糸を結紮し重度歯周炎モデルマウスを、さらに、上顎第二大臼歯へ絹糸のみを結紮し軽度歯周炎モデルマウスを作製した。 その後、直ちにK1 糖鎖結合リポソーム(Cy7)を尾静脈から注射した。 次に、分子イメージングを用いたリポソームの炎症部位への集積の検証を行った。 すなわち、K1 糖鎖結合リポソーム(Cy7 内包)を尾静脈から投与した2 週後において、IVIS spectrum(SPI)によるin vivo分子イメージング解析:XenoLight Rediject Inflammation Probeによる炎症強度のイメージングを実施したところ、3匹の異なったサンプルにおいて、炎症を起こしている歯周組織にリポソームが多く集積していることを確認した。 以上の結果から、K1 糖鎖結合リポソーム(Cy7)が確実に歯周組織の炎症部位に集積することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は歯周炎病態解明の必要性を考え、進行度の異なった2種類の歯周炎モデルマウスを作成することに成功している。 これにより、歯周組織再生のみならず歯周炎の病態解明を本研究から明らかにすることが可能である。 さらに、分子イメージングを用いたリポソームの炎症部位への集積の検証に関しては、K1 糖鎖結合リポソーム(Cy7 内包)を用いることで確認できており、実験計画はおおむね順調に進んでいると考えている。 当初はCy5.5を用いる予定であったが、より波長の高いCy7を用いて実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
特に大きな研究計画の変更等は無く、当初の予定通り着実に実験を進めていく。
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