2014 Fiscal Year Research-status Report
薬物性歯肉増殖症動物モデルを用いたメカニズムの解明
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26861815
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松田 真司 広島大学, 病院(歯), 病院助教 (30611321)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薬物性歯肉増殖症 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物性歯肉増殖症は抗けいれん薬、フェニトイン、カルシウム拮抗薬、ニフェジピン、免疫抑制剤、シクロスポリン等を服用する患者に副作用として起こる、歯肉結合組織、歯肉上皮の肥厚を特徴とした歯周疾患である。現在薬物性歯肉増殖症の明らかなメカニズムは解明されておらず、治療法も歯肉切除や薬剤変更にとどまっている。また患者の全身疾患の状態によっては薬剤の変更や歯肉切除が困難な場合が多い。特に免疫抑制剤の薬剤の変更は難しく、外科的侵襲も制限される場合が多い。このことから薬剤変更や歯肉切除を必要としない新規治療法開発が求められている。そのためには薬物性歯肉増殖症のメカニズム解明が必要である。またメカニズム解明、新規治療法開発には確実に発症することのできる薬物性歯肉増殖症の動物モデルの開発を行う必要がある。 これまでに、薬剤の変更や、歯肉切除をせず口腔衛生管理のみで歯肉増殖症を改善させたという報告はあるが細菌感染と増殖症の関係に関しては明らかになっていない。2014年度は細菌感染が増殖症発症に関与していると考え、以下の実験を行った。 歯周炎発症モデルマウスにシクロスポリンを腹腔内投与し、確実に著明な薬物性歯肉増殖症を発症させることに成功した。またその増殖症は抗菌薬の前投与で抑制することができた。またシクロスポリンと同じ薬理作用を持つタクロリムスでも発症させることができた。シクロスポリンの中止で増殖症は改善した。しかし、抗菌薬の後投与では増殖症を抑制することはできなかった。以上のことから細菌感染による炎症もしくは細胞の機能変化が増殖症発症に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薬物性歯肉増殖症のモデルマウスに作製に成功した。このことは2015年度、詳細なメカニズム解明のため、歯肉組織を採取しDNAマイクロアレイを行うことが可能となった。また細菌感染と増殖症の発症の関連性を明らかにすることができた。この現象をin vitroに反映させ更なる詳細なメカニズムの解明を可能とすると考える。以上のことから現段階ではおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度に作製することのできた薬物性歯肉増殖症モデルマウスの歯肉を採取し、DNAマイクロアレイで増殖症のターゲットとなる遺伝子の探索を行う予定である。また歯肉中でシクロスポリンの標的となる細胞を明らかにするため、放射性同位元素が結合したシクロスポリンを投与し、シクロスポリンの歯肉組織中での局在を明らかにする。ターゲットとなる遺伝子が確定できたら、その遺伝子を操作したマウスを使用し、増殖症における役割を明らかとする。
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Research Products
(3 results)