2014 Fiscal Year Research-status Report
肥満誘導性疾患発症におけるCCL19-CCR7経路の役割解明
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26861816
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩下 未咲 九州大学, 大学病院, 助教 (80611326)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ccl19 / CCR7 / 脂肪細胞 / マクロファージ / 樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
CCL19-CCR7経路が肥満誘導性慢性炎症およびインスリン抵抗性発症に及ぼす影響を明らかにするため、①in vivo、in vitroでのCCL19およびCCR7の発現、②Ccr7遺伝子欠損(Ccr7KO)マウスでの糖脂質代謝および組織中の炎症性細胞浸潤について検討した。 ①の結果、I)野生型 (WT)マウスと比べ、肥満、糖尿病モデルマウスでの血中CCL19濃度の有意な増大を認めた。Ⅱ)高脂肪食 (HFD)負荷WTマウスでは脂肪組織、肝臓におけるCcl19遺伝子発現、血中CCL19濃度の有意な増大を認めたが、Ccr7KO/HFD群ではND負荷群と同程度であった。Ⅲ)脂肪細胞においてLPS、TNF-α刺激時のCcl19遺伝子発現が増大したが、LPS 刺激下でマクロファージと共培養した脂肪細胞での発現レベルには及ばなかった。②の結果、I)Ccr7KO群ではHFD誘導性の肝IRS-1リン酸化抑制の改善を認めた。Ⅱ)WT/HFD群では脂肪組織重量、脂肪細胞の肥大化および肝組織中の脂肪蓄積を認めたが、Ccr7KO/HFD群ではいずれも通常食群と同レベルであった。また、WT/HFD群で認められたCD11c陽性細胞を含む脂肪組織中の著明な炎症性細胞浸潤はCcr7KO/HFD群では認められなかった。Ⅲ)冷刺激下での直腸温測定では、Ccr7KO/HFD群で有意に高値を示した。また、脂肪組織中のUcp-1遺伝子発現はWT/HFD群に比べCcr7KO/HFD群で有意に亢進していた。 以上から、肥満、糖尿病における脂肪組織中のCCL19産生量の増大には、活性化マクロファージおよびCCL19産生細胞である樹状細胞等の免疫担当細胞の誘導が関与していることが示された。また、CCL19-CCR7経路はエネルギー代謝の制御に関与し、肥満誘導性慢性炎症およびインスリン抵抗性に影響を及ぼすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満、糖尿病における脂肪組織中のCCL19産生量の増大には、活性化マクロファージおよびCCL19産生細胞である樹状細胞等の免疫担当細胞の誘導が関与していること、CCL19-CCR7経路はエネルギー代謝の制御に関与することで、肥満誘導性慢性炎症およびインスリン抵抗性に影響を及ぼすことを示唆する結果を得たため、引き続き詳細な機序について明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の点について検討する。 ①CCR7欠損マウスにおけるエネルギー消費への影響について ②肥満・糖尿病患者および歯周病患者の血清CCL19濃度とそれぞれの病態との関連について 解析の結果から、CCL19-CCR7経路が脂肪の蓄積そのものに影響を及ぼし慢性炎症、インスリン抵抗性の発症に関与していることが考えられる場合には、脂肪蓄積制御機構とCCL19-CCR7経路との関連について詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
概ね計画通りに進んでおり、「研究計画・方法」で述べた、解析に必要な実験試薬・実験器具類に使用したが、海外での成果発表を行う機会が得られなかったこと、試薬等については極力浪費をしないよう努めたことが経費削減につながったと思われる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後予定している、マウスにおけるエネルギー消費の検討、臨床研究等において計画的に使用する。また、成果報告についても積極的に行い、次年度への繰り越し金と合わせて有意義に活用する。
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Research Products
(2 results)