2015 Fiscal Year Research-status Report
炎症性骨代謝における新規サイトカインIL-35の役割について
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26861824
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
神谷 洋介 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (70572808)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | IL-35 / サイトカイン / 骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規サイトカインであるIL-35はTreg細胞から産生され、Th17細胞に対して抑制性サイトカインとして機能すると考えられている。しかしながら、骨代謝および歯周病病態におけるIL-35の役割は不明な点が多い。そこで今回、研究代表者は、骨再生もしくは骨破壊への影響について、IL-35の役割を明らかにすることを目的として、骨芽細胞および破骨細胞の分化、活性化における抑制効果やそれらに関わる伝達経路および調節因子の同定に関して検討することにした。 平成26年度までに、歯周病の炎症状態を想定して骨芽細胞 (Kusa A-1細胞)にTumor Necrosis Factor-α (TNF-α)で前処置後、リコンビナントIL-35 (rIL-35)で刺激し、Real-time quantitative PCR (qPCR)法を用いて骨代謝に関連する遺伝子発現量の測定を行った。結果、オステオカルシンと骨シアロタンパク(BSP)の発現量はrIL-35刺激で有意に増加が認められた。 平成27年度には、IL-35刺激による石灰化能と細胞分化能を判定するため、Kusa A-1細胞にrIL-35で刺激した後にアリザリンレッド染色とアルカリフォスファターゼ染色を行った。アリザリンレッド染色とアルカリフォスファターゼ染色共に、rIL-35刺激と無刺激で有意な差が認められなかった。そこで、Kusa A-1細胞におけるIL-35のレセプターであるIL-12Rβ2、gp130の遺伝子発現をRT-PCR法にて確認した。gp130の遺伝子発現はrIL-35刺激の有無に関わらず恒常的に認められたが、IL-12Rβ2の遺伝子発現は刺激に関わらず極微量しか認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IL-35が影響を与える遺伝子を明らかにするため、Kusa A-1細胞にrIL-35で刺激した後、total RNAを抽出し、PCR Arrayによって骨代謝に関連する網羅的な遺伝子発現の解析を行うことを検討していた。しかし、まずKusa A-1細胞でのIL-35のレセプターの発現を確認することで、IL-35の刺激に対する細胞の反応性を調べることとした。結果、IL-35のレセプターのサブユニットの1つであるIL-12Rβ2の遺伝子発現が極微量であった。Kusa A-1細胞は石灰化能が非常に高く、一般的な骨芽細胞とは反応性が異なるためではないかと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
骨芽細胞としてKusa A-1細胞を使用していたが、石灰化能が異なる骨芽細胞 (MC3T3E-1細胞とST2細胞)を用いて、IL-35のレセプター発現を確認を行う予定である。その後、骨代謝に関連する遺伝子発現量の測定、石灰化能と細胞分化能を確認する予定である。
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Causes of Carryover |
新たに細胞を購入し、改めてIL-35の影響を受けた遺伝子の解析のため、新たに試薬等が必要になると考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リコンビナントIL-35の試薬やqPCRを行うための試薬の購入を計画しています。
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