2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26861830
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
丸山 貴之 岡山大学, 大学病院, 助教 (30580253)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | がん / 支持療法 / 口腔粘膜炎 / 化学療法 / 有害事象 / 口腔ケア / 動物実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん化学療法の有害事象として口腔粘膜炎が発生する。これには抗がん剤により口腔粘膜細胞で産生される酸化ストレスが関与している。これに対し、抗酸化物質であるカテキンを口腔粘膜に塗布し、口腔粘膜炎の予防効果について検討することが、本研究の目的である。今年度は、カテキンの至適濃度の検討を行った。 まず、8週齢のラットを「生理食塩水投与+ワセリン塗布」群、「抗がん剤投与+ワセリン塗布」群、「抗がん剤投与+0.1%カテキン配合ワセリン塗布群」、「抗がん剤投与+0.5%カテキン配合ワセリン塗布群」、「抗がん剤投与+1%カテキン配合ワセリン塗布群」、「抗がん剤投与+5%カテキン配合ワセリン塗布群」の6群に分け、5日間連続して実験を行った。抗がん剤は5-フルオロウラシル(20mg/kg)を腹腔内投与し、ワセリンは舌下面に5分間塗布した。その翌日に舌を摘出し、組織切片の免疫染色を行い、DNAの酸化損傷マーカーである8-hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG)陽性細胞率を算出した。 「抗がん剤投与+ワセリン塗布」群の陽性細胞率は45.5±19.0%であり、「生理食塩水投与+ワセリン塗布」群の3.0±2.1%と比較して有意に増加していた。また、「抗がん剤投与+0.1%カテキン配合ワセリン塗布群」の陽性細胞率は21.5±14.1%であり、「抗がん剤投与+ワセリン塗布」群と比較して有意に低下していた。しかし、カテキン濃度を増加させても、陽性細胞率の有意な減少は認められなかった。 本研究の結果より、抗がん剤投与により舌下面の酸化ストレスが増加し、カテキンを塗布することで酸化ストレスが抑制されることが確かめられた。また、0.1%濃度のカテキンであってもその有効性が確かめられた。 このことから、カテキン配合ワセリンの粘膜への塗布が口腔粘膜炎予防に効果がある可能性について示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は口腔粘膜炎ラットモデルの確立を行った。また、平成27年度はカテキンの至適濃度の検討を行った。これらの結果をもとに、カテキンの口腔粘膜炎予防効果について検討を行うことが可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は口腔粘膜炎モデルラットにカテキンを塗布し、口腔粘膜炎の予防効果について検討を行う。
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Causes of Carryover |
本研究に使用する物品が、計上した予算よりも安価で入手することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は解析項目を増やす予定であり、次年度使用額は請求した助成金とあわせて使用する。
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Research Products
(1 results)