2014 Fiscal Year Research-status Report
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26861843
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
中村 安孝 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (40598851)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNA抽出 / DNA鑑定 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯牙よりDNAを抽出する過程において、最初の重要な処理となる脱灰操作において、使用する試薬及び作用時間は獲得出来るDNAの質に大きく影響すると思われる。平成26年度の研究では、合計100回のDNA抽出操作を行い、脱灰操作時間の違いにより、最終的なDNAの抽出量及び、DNAの質にどれ程変化があるのか判定した。実験の方法は、10年以上湿潤な薬瓶内に保存されていた歯牙25本を、技工用エンジンにより4つに分割し、これら4つの内、1つは市販のDNA抽出キットであるTBONE EX KIT(DNAチップ研究所)を使用してプロトコルに従い抽出操作を行うのに対し、残りの3つは、当講座で作成した脱灰用試薬(0.5M EDTA2Na、0.1M Tris、0.9% Nacl、4M 尿素、KOH を配合し、Phをアルカリ性に保ったもの)を用いて、それぞれ72時間、48時間、24時間での操作し、その後の細胞溶解からDNA精製までの作業は同一の操作を行つた。得られたDNA6μℓを取り出し、分光光度計 GeneQuant(Pharmacia)を用いて「DNA回収量」「purity」「racio」「Protein濃度」の4項目を測定した。その結果、今回の調査に置いて24時間の脱灰を行った歯牙が、DNA濃度、Purity、Racioの3つの項目において有意に良好な数値を示した。調査した試料の中では、48時間、72時間の脱灰操作を行った試料の方がDNA回収量・Purity・Racioの項目の何れかで良い数字を示した試料もあったが、今回用いた分光光度計ではprotein濃度がDNA濃度に強い影響を与える可能性が有り、脱タンパク操作が十分に行われなかった試料では、DNA回収量が高く計測される傾向も示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
得られたDNAの評価法として用意していた吸光度計が、タンパク質とDNAの読み分け能力において不適切である可能性が出てきた。この吸光度計は、一般的にも広く用いられている核酸測定用のもので、通常であれば問題は無いが、今回の実験ではより信頼度の高い新たな評価方法を模索する必要性を感じている事がやや遅延している大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
サンプル数(DNA抽出回数)を200まで増加させ、脱灰時間と抽出DNAの相関をより明確にする。また、市販抽出キットと、当講座における作業プロトコルとの比較において、もっとも条件の異なっていた脱タンパク質操作に大きく影響される評価である、純度とタンパク質濃度の2項目で明らかに異なる結果が出ている事から、最適脱タンパク操作に対する追及を行う。
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Causes of Carryover |
実験の進行やや遅延の為、DNA抽出作業の諸費用分が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
DNA抽出用の消耗品、試薬、市販抽出キットの購入費に加え、Qubit® 3.0やQuantus等の、より高精度な核酸測定に使用出来るフルオロメーター等の購入を予定している。
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