2016 Fiscal Year Research-status Report
在宅要介護高齢者に対する効率的な口腔ケアサービス提供体制の確立に向けて
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26861844
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
三澤 麻衣子 日本大学, 歯学部, 講師 (80386127)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | データ分析 / 統計処理 / 要介護高齢者 / 口腔ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科専門職が介入している特別養護老人ホームにおいて,利用者の要介護度および食事形態別の口腔ケアおよび歯科治療が行われている頻度を調査し,現実的に可能な歯科専門職の介入を考察することを目的とした。歯科専門職が介入している特別養護老人ホーム2施設(同一法人が運営し,隣接地にある)を対象とした。2施設から396人分の利用者のデータを収集した。施設Aを担当するチームaは歯科大学,チームbはチームaが行っていたのを引き継いだ歯科医院であり,施設Bを担当するチームdとチームeは歯科医院である。各チーム間が担当する利用者の要介護度の分布は統計学的に有意な差はない。施設Aは約5割の利用者,施設Bは約7割の利用者の口腔のケアを毎月専門職が行っていた。施設Aは約1割の利用者,施設Bは約7割の利用者の歯科治療を毎月歯科医師が行っていた。要介護度4以上の者では,日常の口腔ケアに半数以上が介助を必要とした。口腔ケア用具は要介護度があがることに多様となり,とくに要介護度3からは,高齢者にあわせた用具の選択と使用方法の説明という歯科専門職の介入が必要と示唆された。要介護度よる歯科治療回数の増減はなく,歯科治療は要介護度に関わらず必要となることが示唆された。訪問チームにより,口腔ケアおよび歯科治療の頻度は異なっていた。歯科医院が行う際には治療と合わせて口腔ケアを必ず行う傾向が強いことが示唆された。歯科治療の頻度は,チームによって差が生じているため,目安となる指針やガイドが必要であると考えた。 今回対象とした施設では,施設スタッフによる日常の口腔ケアに加え,歯科専門職による口腔ケアを歯科衛生士が主体で行われていた。今後,要介護高齢者への口腔ケア推進には,介助者への定期的な指導も含めて,歯科衛生士のより一層の適切な配置が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、在宅での歯科医療を提供する歯科医院への調査を、「在宅療養者についての訪問歯科に関するアンケート」として、各厚生局の保険医療機関名簿から系統抽出した全国の歯科医院2,000件を対象に、郵便留め置き法で実施したが、産後の休暇および育児休暇を取得し研究が5か月間中断したため、アンケートデータの分析が終了できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
歯科専門職が、包括的に介入している特別養護老人ホームにおける入所利用者の要介護度および食事形態別の口腔健康管理および歯科治療のデータ収集を残り3施設予定していたが、先方の施設側の諸事情により協力が難しいため終了とする。 一方、昨年度、在宅での歯科医療を提供する歯科医院への調査を、「在宅療養者についての訪問歯科に関するアンケート」として、各厚生局の保険医療機関名簿から系統抽出した全国の歯科医院2,000件を対象に、郵便留め置き法で実施した。現在340件から返信を得ている。今年度はこのアンケートのデータをもとに、在宅での歯科診療実施内容及び促進因子の抽出を行い、促進因子については歯科医療機関の規模や地域特性などを考慮し検討を加える。検討結果の一部でリーフレットを作成し、データ提供をして頂いた歯科医院へ返信を行う。 歯科医院における、在宅での歯科診療実施の促進因子の調査結果については、平成29年11月に行われる日本公衆衛生学会に発表予定である。さらに、これに加え、これまでに本研究で得られた結果を、日本歯科医療管理学会等に論文投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
産後の休暇および育児休暇を取得したため、5か月間研究が中断してしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
歯科医院側への調査は、「在宅療養者についての訪問歯科に関するアンケート」を作成し、全国の歯科医療機関2,000件に郵便留め置き法で行い、現在340件から返信を得ている。今年度は、このアンケートをもとに在宅での歯科診療の促進因子の抽出を行い、因子について検討を加える。また、データをいただいた特別養護老人ホームおよび歯科医院へ結果報告を行う。歯科医院への調査結果は平成29年11月に鹿児島で行われる日本公衆衛生学会に発表予定である。加えてこれまで得られた結果を日本歯科医療管理学会等に論文投稿する予定である。アンケートを解析するための費用、データをいただいた歯科医院への結果報告への費用、そして学会参加および論文掲載の費用として今後使用する計画である。
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Research Products
(2 results)