2014 Fiscal Year Research-status Report
全身疾患の発症に関与する齲蝕病原菌を早期にコントロールする新規シーラント材の開発
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26861845
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
島津 貴咲 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (80582254)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 齲蝕予防 / S-PRGフィラー / シーラント / バイオフィルム / 共凝集 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに,S-PRG (surface reaction type pre-reacted glass ionomer) フィラーを含有するシーラント材が種々のイオンを徐放し,特にフッ素のリリース・リチャージ能を有することを確認している。本研究では,S-PRGフィラーを応用し①その抗菌効果について分子微生物学的に客観的な検証を行い,②シーラント材表面と周囲歯質における齲蝕病原細菌の増殖を効果的に抑制する機序を解明し,③全身疾患を起こしうる病原性の高いバイオフィルム形成を初期の付着段階から阻止する,新材料を開発することを目的としている。 該当年度では,S-PRGフィラーの抗菌性を評価するため,S-PRGフィラーのイオン溶出液を調製し,口腔微生物増殖抑制効果と共凝集抑制効果を評価した。その結果,S-PRG溶出液は各種齲蝕病原菌と感染性心内膜炎原因菌,およびカンジダ症病原真菌に対して増殖抑制能を有することが明らかとなった。また,S-PRG溶出液は,Streptococcus gordoniiと他の細菌との共凝集を抑制することが示唆された。 本研究の結果は国内・国外の学会で発表し,高い評価を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,S-PRGフィラーの抗菌効果について分子微生物学的に客観的な検証を行い,S-PRGフィラーが,口腔内微生物に対する増殖抑制効果と,共凝集抑制効果があることを明らかにした。 ただし,この抗菌効果はS-PRGフィラーのイオン溶出液を用いて評価した結果であり,実際のシーラント材を用いて抗菌効果を確認するまでには至っていない。また,S-PRGフィラーの共凝集抑制効果が認められたが,実際にバイオフィルムの形成を阻害するかどうかを確認するまでには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに明らかにしたS-PRGフィラーの抗菌効果が,実際に口腔内で使用できるシーラント材においてもその効果が認められるか,検証する。そのため,シーラント材のフィラー含有量や,実験期間および条件などを検討する必要がある。 また,バイオフィルム形成の抑制効果についても検証する予定である。そのため,プラーク形成の初期に歯面に付着し,後に他の細菌と共凝集することでバイオフィルムの形成に関与するStreptococcus gordoniiをターゲットとし,まずはS-PRGフィラーのイオン溶出液を用いて,検証する予定である。 さらに,研究結果を国内学会で積極的に発表し,国際誌への投稿を行う。
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Causes of Carryover |
自動吸光度測定器として、小型振盪培養装置を設備備品費として経費を計上しており,消耗品に関してはハイドロキシアパタイトビーズ等を当該年度に購入予定だったが,研究の進展状況により,次年度に繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ハイドロキシアパタイトビーズ,培養用の培地・試薬などが必要である。また,各実験で使用するピペットやチップ,シャーレ,ビーカー,試験管およびチューブ等は今後も新たに購入をする必要がある。また,各実験で収集したデータを保存するため,記録メディアが必要である。 研究成果は,国内外の学会で積極的に発表するため,その旅費と,英文学術雑誌への投稿費用等が必要となる。
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Research Products
(11 results)