2017 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of Maintenance of Face-Down Positioning on the Physiological and Psychology Responses and Investigation of the Effect of Self-Exercise
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26861856
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
古島 智恵 佐賀大学, 医学部, 助教 (00363440)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | うつむき姿勢 / 自動運動 / 20歳代成人 / 60歳代成人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、硝子体術後に必要とされる下を向いた姿勢(以下、うつむき姿勢)を想定した体位の保持が身体へ及ぼす影響を生理学的および心理学的側面から調べ、さらにうつむき姿勢に伴う苦痛に対して自身で行う運動(以下、自動運動)の効果を検証することを目的とした。基礎的知見を得るため、被験者を健常成人とし網膜剥離等の好発年齢である20歳代および60歳代を対象とした。 全体的な研究計画のうち、平成29年度は60歳代成人13名(平均年齢65.2±2.5歳)を対象に自動運動の効果を検討した。その結果、気分評価においてうつむき姿勢保持により増大する「緊張-不安」、「混乱」は自動運動を行うことで低下(P=0.007、0.027;二元配置分散分析)することが示された。さらに、うつむき姿勢保持により増強する肩部の疼痛は自動運動を行うことでほとんど増強しなかった(P=0.008;二元配置分散分析)。 本研究全体を通して明らかになったことは、20歳代成人では、うつむき姿勢保持により、椅坐位に比べ疲労の増大といった心理的負担、および頸部、肩部の疼痛の増強が著しいことが示された。さらに、肩部・腰部皮膚温の低下、肩部皮膚血流量の低下、肩部筋硬度の上昇といった身体を自由に動かせないことでの筋肉活動の低下に伴うと考えられる身体への負担が示された。この結果をふまえ、疼痛緩和および血流の促進を図るために自身で行える頸部の伸展、肩部の回旋、上肢の挙上等の自動運動を行い、効果を検討したところ、うつむき姿勢保持に対して自動運動を行うことで、疼痛の緩和、自律神経活動に示される身体的な緊張および皮膚温の低下を緩和する効果が示された。また、60歳代成人においても同様に心理的負担および疼痛緩和の効果が示された。 従って、硝子体手術後にうつむき姿勢保持を余儀なくされる患者の負担や苦痛に対するケアとして自動運動を促すことの有用性が示された。
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