2016 Fiscal Year Research-status Report
紀伊半島大水害から捉えた豪雨災害被災者の長期的なメンタルへルス支援に関する研究
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26861863
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
福田 弘子 京都府立医科大学, 医学部, 助教 (40551247)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 豪雨災害 / メンタルヘルス / 心理的負担 / 被災者支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、国内各地で大規模な豪雨災害が発生している。本研究の目的は、豪雨災害後の長期的なメンタルヘルスについて2011年紀伊半島大水害から検討することである。 平成26年度は、豪雨災害における被災者の心理的負担とその支援に関する文献検討を実施し、豪雨災害後による被災者への心理的負担への影響について分析した。豪雨災害後の被災者の心理的反応を含む記述について質的帰納的に分析した結果、「家屋の復旧活動の困難さ」「被害拡大・再発生への強い不安」「豪雨災害体験を想起させる事柄に伴う不安」「地域生活・環境の変化への不適応感」「必要な相談・援助を求められない」「長期的に残る被災による心身の影響感」の6つのカテゴリーが抽出された。豪雨災害により、長期経過後も被災による心身への影響感が残る被災住民がいることから、個別的な被災者の経験に焦点を当て、必要な相談や援助につながるよう、豪雨災害後のメンタルへルス支援策を講じていく必要性が示唆された。 以上の結果をふまえ、平成27年度は個別的な被災者の体験に焦点を当てることが可能な研究方法として、被災者を対象とした面接調査を行うにあたり、倫理的側面について慎重に検討し、所属大学の倫理審査委員会の承認を得た。平成28年度は、紀伊半島大水害の被災者の語りから、豪雨災害後の生活再建の過程でどのような心理的影響が生じていたか質的帰納的に分析し、豪雨災害被災者のメンタルヘルスについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
半構造化面接の実施後、結果を質的に分析するにあたり、対象者の語りの内容を精緻に理解し検討を重ねているため、想定以上に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
豪雨災害被災者の生活再建の過程における心理的影響を明らかにするとともに、得られたソーシャルサポートについて検討し、豪雨災害後のメンタルヘルス支援の重要性とその支援策について提言していく。
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Causes of Carryover |
研究計画の一部修正が必要となり、結果の分析を精緻に行うことに時間を要したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果の報告と学会発表での旅費が中心となる予定である。
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Research Products
(1 results)