2017 Fiscal Year Annual Research Report
Long-term mental health support for people who have experienced torrential rain - A study based on the Kii Peninsula Flood in 2011 -
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26861863
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
福田 弘子 京都府立医科大学, 医学部, 助教 (40551247)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 豪雨災害 / メンタルヘルス / 心理的負担 / 被災者支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、国内各地で大規模な豪雨災害が発生している。本研究の目的は、豪雨災害後の長期的なメンタルヘルスについて、豪雨災害のなかでも大規模な事例となっている2011年紀伊半島大水害から検討することである。 豪雨災害に関する文献研究を行い、豪雨災害後の被災者の心理的負担として、「家屋の復旧活動の困難さ」「被害拡大・再発生への強い不安」「豪雨災害体験を想起させる事柄に伴う不安」「地域生活・環境の変化への不適応感」「必要な相談・援助を求められない」「長期的に残る被災による心身の影響感」といったことが生じることが明らかになった。豪雨災害から長期経過後も「被災による心身への影響感」が残る被災住民がいることから、長期的なメンタルヘルス支援として、個別的な被災者の経験に焦点を当て、支援に関するニーズを明らかにする必要性が考えられた。 以上のことから、個別的な被災者の経験に焦点を当て、長期的なメンタルヘルス支援上の課題を明らかにするための予備的調査として、被災者を対象とした面接調査を実施した。2011年紀伊半島大水害の被災者の協力を得て、語られた内容から被災後の「心理的影響」と「得られた支援」について経時的に分析した。本研究協力者の被災者では、被災後約1ヶ月が経過する頃に不安や孤独感、ストレスや精神的不調を感じるようになっていた。被災者は精神的な不調を自覚しながらも、医療機関や専門家に相談することはなかった。しかしながら、災害発生後より支援活動を行っていた災害ボランティア等による継続的な関わりや、自分の被災後の状況を理解している家族や友人、同じ被災者の存在に支えられながら、長期経過後に心理的安定を保つことができていた。 豪雨災害後のメンタルヘルスについて、被災者同士もしくは被災後の状況を理解している支援者とのつながりを維持していくことや、被災者同士が体験を共有できるような場の必要性が示唆された。
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Research Products
(2 results)