2015 Fiscal Year Research-status Report
自然災害時に病院看護管理者が人的外部支援受け入れに至る過程の構造の明確化
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26861864
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
黒瀧 安紀子 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 講師 (70593630)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 災害看護 / 受援 / 被災病院 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、外部支援受け入れを行なわなかった機関への面接調査を行うこととなっていた。 学会に参加し研究対象者のリクルートや災害看護に関する文献、報告から研究対象者の発掘を試みたが、該当する者が見つからなかった。ただ、外部支援を受け入れた者を見つけることができたため、現時点で人的外部支援受け入れに至る過程の構造の要素となりえそうな要素の候補と受け入れに至る構造の案を見て頂き、助言をもらった。構造案は、支援受け入れ決定から支援の要請までの過程を構造化したものであり、要素は、「病院が受けた災害からの影響」「看護管理職の持つ想い/信念」「支援者への対応」「情報不足」が支援受け入れ決定に影響する要素として挙げられ、支援の要請には「心理的要因」と「物理的環境」があることを示したものである。これらの要素について、支援受け入れ決定の要素としては、経験上妥当であると回答があった。これらの要素に加えて、被災地の文化的要素を加えてはどうかという助言があった。さらにこの者は、1か月後から支援を断っており、その理由として、支援者へのオリエンテーションが大変、患者と医療職のバランスが取れてきた、勤務と休みが計画的にとれるようになった、支援者に気を遣うなど、であった。 上記の者に加えて、外部支援のコーディネートを行った者にも同様の構造案を見てもらい、助言をもらった。「病院が受けた災害からの影響」にある「病院機能の維持」は、要素というより前提条件ではないかという助言があった。「支援者への対応」にある「人員配置」についても意味が分かりづらいため、用語の検討するよう助言された。また、現在の構造では、時間的経過が表現されていないため、それが構造の中にも示されるとよい、という助言があった。 以上より、「支援受け入れ過程の構造」の要素と構造についての案とその修正、支援受け入れを断った理由が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
面接調査を行う予定であったが、多くが集まらなかったが、受け入れ経験者とコーディネート経験者に、現時点での構造の要素と構造案を見てもらい、追加が必要な要素や要素の表現の精錬化、構造化に関する助言をもらうことができた。さらに、支援受け入れを断った理由についてもいくつか聴取できたことから、支援受け入れを断った過程の構造の参考にできる情報を得ることができた。 今後、構造の要素をさらに精錬し、構造案も修正することにより、人的支援受け入れの構造化を進めることができると考えている。 このため、研究目的の達成度は、概ね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度に行った外部支援のコーディネートを行った者から、過去に外部支援コーディネートを行った機関やコーディネートを行った者を紹介してもらうことができそうであるため、そこから研究協力者のリクルートをし、研究を進めていくことを考えている。 また、現在作成している構造案を助言に基づき精錬し、再度専門家等に聞くことにより、支援受け入れ過程の構造案の骨子となる部分を作成することにより、構造化を早く進めることができると考える。 以上より、研究協力者を雪だるま方式でリクルートをしつつ、支援受け入れ過程の構造化も同時に進め、面接調査の内容を構造の骨子に付け加えながら、進めていくことにより、研究目的を達成したいと考える。
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Causes of Carryover |
予定していた研究協力者のリクルートが思うように行えなかったため、予算に入れていた旅費や面接内容のテープ起しを行わなかったことから、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度は、客員研究員となったため、これまで使用していたPCが使えなくなったため、PCやプリンター等の購入が必要となったため、そこで予算を使用する。 また、研究協力者を見つけることができそうなことから、面接のための旅費やテープ起こしへの使用、専門家から助言をもらうための旅費や謝金などに予算を使用することになる。 加えて、研究テーマに関連する最新の災害看護に関する情報を得るために、災害看護関連の文献や図書の購入、学会への参加を予定している。
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