2014 Fiscal Year Research-status Report
日本の看護場面で実践可能な超音波ガイド下末梢静脈穿刺法の開発と有用性の検証
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26861867
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
巻野 雄介 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (10635410)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 末梢静脈穿刺 / 超音波ガイド / 看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究には臨床現場で実務にあたっている看護師の協力が不可欠である。特に超音波診断装置という看護師にとって未だ馴染みのないものを煩雑な日々の看護業務に導入するには、それ相応の現場の理解と努力が必要となる。そこで平成26年度は主にリサーチフィールドの探索・確保にあたった。大分県内の先進医療を担う医療機関に協力依頼し、本研究の第1段階であるわが国の看護師が抱える末梢静脈穿刺の問題点の抽出に向けたインタビュー調査を実施することとなった。これを機に、第2段階の超音波ガイド手法の開発、第3段階の超音波ガイド手法の安全性と確実性の検証においても協力依頼しており、概ね理解して頂くことができた。同一の病院で一貫して研究を行うことで、問題の共有、現場のニーズに則した新たな技術開発と開発したその技術の効果検証が可能となる。何より超音波の操作に慣れる時間を確保できることが最大のメリットである。第1段階の調査については倫理審査を終え、これから実施する。 第2から第3段階では超音波プローブと上肢を固定するためのデバイス、実際に針を穿刺するための人工の模擬腕が必要であり、それぞれ工学機器を取り扱う会社に開発を依頼した。固定用デバイスは開発先を含めて再検討中である。人工模擬腕は既存の製品でいくつかあるが、エコーを使用することを前提としていないため、模擬腕内の人工血管を超音波で確認することができなかった。そこで既存の製品を販売する会社にエコーで実際の血管のように描出できる素材の開発とそれを用いた上での製品化を依頼した。エコーを透過し、かつ血管内と腕の筋・脂肪組織にあたる部位のインピーダンスにばらつきをもたせることが可能となり、実用可能な製品はほぼ完成しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上肢と超音波プローブを固定するためのデバイスについては、当初は既存の市販された機器を活用する予定であったが、この技術への応用に特化したものの方がより確実であると判断した。そこで大分県内の工学機器を取り扱う企業と連携し、平成27年のはじめから開発に向けて話し合いを行ってきたが、先方の意志により開発を断念することとなった。これにより、固定用のデバイスについては、既存の機器の活用を視野に入れて再検討しているところであり、人工の模擬腕を用いた超音波ガイドの確実性の検証は当初の計画より半年ほど遅れる見込みとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
9月までに看護師が現場で抱える末梢静脈穿刺(確保)に関する問題点についての調査を終え、その調査を実施した医療機関の協力を得ながら、本格的な超音波ガイドを用いた末梢静脈穿刺の技術開発を行う。固定用デバイスについては、既存の機器の費用と、これまでとは別の企業、具体的には人工模擬腕を開発中の会社に依頼し作成可能かどうか協議した上で、方策を決定する。既存の機器を使用する場合は、ターゲットとなる上肢の皮静脈をマーキングするためのレーザーポインターを設置するための作業が必要となる。人工模擬腕はその時点でおおよそ完成する見込みであり、固定用デバイスの準備ができしだい、前述の医療機関に所属する看護師が実施する従来の末梢静脈穿刺法と超音波ガイド下の末梢静脈穿刺法の成功率を比較検証する。また同時に細菌カウンターを用いて、超音波ガイドによる感染のリスクの有無を検証する。これらの調査は遅くとも今年度1月までには開始する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に上肢と超音波プローブを固定するデバイスと人工の模擬腕を購入する予定であったが、いずれも既存の製品では本研究の検証に十分な機能を有していないため、それぞれ新たな開発を依頼し実際の購入は翌年度としたため、それらの物品購入額が27年度に繰越となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人工模擬腕はほぼ完成しているため、これから購入手続きに入る。固定用デバイスは既製品を使用するか、新たに工学機器を取り扱う企業に開発依頼を行うかを検討中であるが、いずれにしても平成27年度中に購入する予定である。
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