2014 Fiscal Year Research-status Report
緩和ケアにおける安楽のケアモデルの開発に関する研究
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26861883
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
北谷 幸寛 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10613648)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 緩和ケア / 安楽 / comfort |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度である。 緩和ケア病棟に勤務する看護師10名に対しインタビュー調査を行った。インタビューで得られたデータを質的記述的研究法に基づき分析を行ったところ、4つのコアカテゴリー≪折り合いのついた今を肯定している≫,≪日常が維持されている≫,≪今と未来に生きる人とのつながりがある≫,≪周囲の理解と安定≫が抽出された。それらは、患者自身の状態(≪折り合いのついた今を肯定している≫,≪日常が維持されている≫)と周囲の人々とのつながり(≪今と未来に生きる人とのつながりがある≫),環境の状態(≪周囲の安定と理解≫)の3つの要素に分類できると考えられた。終末期患者にとって死はより身近な存在になっており,差し迫ったものと考えられる.これまで築き上げてきた自分という存在が死によって無くなることへの患者の恐怖・不安は消えないと考えられる.そのため≪折り合いのついた今を肯定している≫の中に『人生を振り返り,人生を意味づけできている』と言うサブカテゴリーがある様に,自分の存在に意味を見いだし,≪今と未来に生きる人とのつながりがある≫のように,生きている時のつながりだけでなく,死後に他者の中に生きた証として残していくことが終末期患者の安楽と看護師は捉えていたと考えられる.≪周囲の安定と理解≫では病棟環境のような物的環境だけでなく,患者の周囲の人の安定が抽出された.<家族の生活が安定している>のように患者の家族への不安を減らすだけでなく,患者がその人らしさを保つために,<家族の理解がある>や<看護師が患者を理解している>が必要とされていた.自分という存在が死によって不安定な終末期患者には周囲の理解があることで自分という存在を確かなものにするための助けとなると考えられる.つまり終末期患者の安楽を、揺れ動く患者の存在の安定と死後その存在を誰かに残していくこと、と捉えていたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目に患者家族に対して、インタビューを開始する予定であった。しかしインタビューのプレテストを行った際、安楽という言葉は看護職以外の人にはあまりなじみのない言葉であることが分かり、研究目的の達成のため安楽の代替用語を検討し、インタビューを行うべきと判断した。そのため、その代替用語の検討のために新たに実態調査が必要となり、予定よりやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、看護学生及び他学科の学生に対し安楽の代替用語の調査を行う。それを元に患者・家族にインタビューを行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究データ取得の際に、予定より効率よく取得が出来たため旅費・人件費等の支出を抑えることが出来た。また予定した患者・家族のインタビューが行えなかったためである。 以上があり、物品費やその他の物に関しても節約することが出来たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
余剰した予算は昨年度予定していた患者・家族のインタビューの際に使用する予定である。
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