2015 Fiscal Year Research-status Report
緩和ケアにおける安楽のケアモデルの開発に関する研究
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26861883
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
北谷 幸寛 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10613648)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 安楽 / テキストマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
安楽は看護の理念と方法の中心定理(central dogma)の一つと位置づけられる概念とされている.しかし,本邦での安楽はcomfortの定義を用いて説明されており,本邦独自の概念とは言いがたい.本研究では,安楽がどのように認識されているか明らかにし,それによって質の高い安楽なケアを提供できるものと考えられる.本年度は患者・家族を対象に行う予定であったが,安楽という言葉の一般的な使用頻度の低さから適切なデータが得られなかった.そのため,看護学教育を受けていない学生への安楽という言葉に対する認識のアンケート調査や,Twitterで語られる安楽のイメージを調査し,安楽の代替用語を探ることとした.学生に対しての調査項目は,安楽という言葉から連想する言葉とし,分析にはText Mining Studio ver5.2を用いて,安楽を係り元として係り先を形容詞・形容動詞として係り受け頻度解析を行った.結果として「安楽死」が上位に上がったものの「リラックス」「安らか」「幸せ」「落ち着く」と言う言葉がイメージとして連想されていた. Twitterでは「安楽」をキーワードにデータを収集し,分析方法としては収集したデータから「安楽死」や固有名詞を除外し,その後学生を対象に行ったアンケートと同様に分析を行った.その結果として「快適」「幸運」「楽しい」「心地よい」という言葉が安楽のイメージとして抽出することが出来た. 安楽と言う言葉のイメージとしてこれらの言葉が確認できたことで,患者が安楽に対してこうした言葉に準ずるイメージを持っていることが示唆された.これらの言葉を元にインタビューを行うことで,患者にっての安楽を明確に出来るものと考える.またこれらの言葉を元に患者の状態をアセスメントすることで安楽なケアが提供できたか否かを評価出来ると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度中に患者・家族へインタビューを行う予定ではあったが,インタビューのプレテストの結果から,一般的な安楽という言葉は安楽死として認識されており,死というイメージが強かった.そのため,安楽という言葉を用いてインタビューを行い収集したデータが本研究の目的に沿ったものではない事が考えられた.そこで患者・家族へのインタビューを継続して行うのではなく,本年度は安楽死という言葉を避け安楽という言葉から連想される用語を調査することで,安楽の代替用語を探ることとしたため,研究の進捗状況としては遅れている.しかし本年度の調査で明らかになった言葉を用いることで,研究目的に沿った患者・家族の安楽について調査できるものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で明らかになった安楽の代替用語を用いて,患者・家族へのインタビューを行い,患者・家族が認識する安楽を明らかにする.
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Causes of Carryover |
研究計画では本年度に患者・家族へのインタビューを行う予定であったが,研究計画の変更がありそれらのインタビューを実施できなかった.そのため,その際に予定していた人件費や旅費,謝礼など物品購入にかかる費用を使用することがなかったため次年度の使用額が生じることなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に予定していた患者・家族へのインタビューを行う予定であり,実施のために,真剣費・旅費・謝金・謝礼などの物品購入にかかる費用として,使用する予定である.
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