2016 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患患者の健康状態改善のための看護師の食事指導の強化
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26861884
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大日向 陽子 山梨大学, 総合研究部, 助教 (40570263)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患患者 / 健康状態 / 食事指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,IBD患者の食事摂取状況・心理状態をふまえた看護師による食事指導実践化への課題について検討することである。IBD(n=22)を疾患別に比較した結果,CD群は血清Alb,摂取エネルギー,たんぱく質摂取量がUC群より低値を示す傾向にあり,脂質,特にPUFA・n-3PUFA摂取量等が有意に低値であった。CD群は「煮る」「焼く」の調理方法が多く,UC群も同様の結果となった。心理状態(「心のゆとり」)は両群とも高値を示す項目が多かったが,CD群の「いろいろなことが気にならない」はUC群より有意に低値であった。UC群は血清AlbがCD群より高値を示す傾向にあり,エネルギー,たんぱく質等は摂取できていたが,血清CRP,ESRなどの炎症反応を認めた。CD群は食事摂取方法(経路)に特徴があり,経口摂取のみで食事摂取している群5名(以下,経口群)と経口摂取に加えED(成分栄養剤)を併用している群6名(以下,併用群)の2群で比較した結果,経口群には血清Alb低値患者の割合(60%)が多く,摂取エネルギーが併用群より低値を示す傾向にあり,たんぱく質摂取量は有意差に低値であった。併用群は,エネルギー摂取量の約1/2に相当する950kcal/日(平均値)をEDで摂取しており栄養状態は良好であった。調理方法では経口群は「焼く」が多く,併用群は「蒸す」「煮る」など消化に良い形態で摂取していた。心理状態では,経口群は特に「不安を感じない」など3項目が低値を示す傾向にあり,中でも「焦りを感じない」は併用群より有意に低値であった。研究結果をまとめ,Clinical Nutrition Week 2017(aspen)にて発表した。次年度(最終年度)は,分析したデータを基に,専門家(医師・管理栄養士)にスーパーバイズを受け,健康状態改善に向けた食事指導実践化の課題を考察・検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定では,本年度が最終年度にあたる年であったが,分析結果を基に,専門家と協議を重ねるための準備(日程調整などを含む)が実施できず,1年期間を延長するに至ったため,進捗状況は「遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までに得られた研究結果をもとに専門家(医師,管理栄養士)と協議し,IBD患者の食事摂取状況・心理状態をふまえた看護師による食事指導実践化への課題について検討し,臨床での活用方法を考察する。研究成果を論文にまとめ,日本看護科学学会等の関連学会に論文投稿発表する予定である。
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Causes of Carryover |
専門家(医師・管理栄養士)との協議が実施できず,運営費・旅費などに充てられず未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費使用計画は以下の通りである。 調査結果より,専門家(医師・管理栄養士)のスーパーバイズを受け食事指導の課題を検討する予定であり旅費が発生すること,また,関連学会(日本臨床栄養学会,日本看護科学学会等)への投稿論文諸費用など(英文校正も含む)に使用予定である。また,研究成果をまとめるための報告書作成費にも使用する予定である。
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Research Products
(1 results)