2014 Fiscal Year Research-status Report
人工呼吸器患者におけるVAPケアアプリの開発とVAP予防効果及び看護ケアへの影響
Project/Area Number |
26861889
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田戸 朝美 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30452642)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口腔ケア / 人工呼吸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人工呼吸器患者における合併症である人工呼吸器関連肺炎(Ventilator Associated Pneumonia: VAP)の予防に看護師が行うVAP 予防ケアがVAP 発生に与える影響を実態調査研究をもって明らかにする。さらにVAP リスクアセスメント&バンドルケアアプリケーションソフト(以下VAP ケアアプリとする)を開発し、ベッドサイドでの客観的ケア評価及びプロトコルの提示が看護師のVAP 予防行動の実施率を向上させ、VAP を低下させるかを前後比較研究で検証することである。 本年度は研究者が所属する大学に附属している病院のICU に入室している気管挿管患者13名に対し、口腔ケアの実態調査を行なった。 対象となったICUではポビドンヨード水による口腔ケアを行っており、「細菌学的検査」「細菌数検査」「口腔内水分量」「客観的口腔内アセスメント(ROAG)」「下気道への流れ込みの評価(カフの汚染度)」で評価を行った。細菌数では、口腔ケア前後で菌数の有意な低下を認めた。水分量では有意な差を認めなかったが、客観的評価であるROAG、「舌」の項目は経過とともに悪化する傾向を認めた。抜管後の気管チューブのカフ汚染を評価したところ、気管切開に至った症例では、他の症例と比較して有意な汚染度の高さを認めた。 これらのことから、口腔ケアによって細菌数の減少を認めているが、経過とともに口腔内状態は悪化していく現状があるため、口腔内環境を維持していくために保湿ケアを中心とした口腔ケアを実施していくシステムが必要と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実態調査として3か所のICUでの調査を計画しており、本年度1か所で実施、残り2か所の施設も研究協力者との調整を終え、調査が開始できている。 実態調査は平成27年度途中までを計画しており、おおむね順調に進展できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は実態調査の継続とVAPケアアプリの作成を行う。 1.前向き実態調査研究 前年度に引き続き、ICUに入室し人工呼吸器を2日間以上装着した患者100名に対し、人工呼吸を開始した日から抜管するまでのデータ(VAPの有無,VAP予防ケアの実施率,口腔内環境,口腔粘膜保湿度,抜管後のチューブのカフ汚染度など)を収集する。100症例到達するところまで実施する。10月頃までに集まったデータを分析し、VAPに影響を与える看護ケア因子、カフ汚染に影響を与える看護ケア因子、口腔内環境に影響を与える看護ケア因子を検討する。 2.VAPケアアプリの作成 実態調査研究とエビデンスより導き出された看護ケア因子を踏まえて、VAP予防ケアのプロトコルを検討する。ベッドサイドでプロトコルの実施が容易となるように、i Padに入力できるVAPケアアプリを作成する。これは、ベッドサイドでの客観的評価ツール(口腔内画像、口腔粘膜の細菌数、口腔内保湿度)に主観的評価ツール(OAG(Oral Assessment Guide,Andersson,2002))を看護師がi Padに入力することで、評価とプロトコル化された標準的ケアを提示するものである。このVAPケアアプリでは、i Padで撮影した画像が取り込まれ、その他のデータとともに経時的に変化を追うことができるため、悪化の徴候を見逃さず、また改善も評価しやすく看護師の満足度に繋がると考える。VAPケアアプリの開発には実態調査を終了後、作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
購入した消耗品の支払額が予定金額より安くなり、139円の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この未使用額については、平成27年度の研究費と併せて、細菌数の評価ための消耗品の購入に充てる。
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