2016 Fiscal Year Research-status Report
自己血採血時の血管迷走神経反射のリスクを低下するための新たな評価指標の確立
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26861895
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
鎌倉 美穂 宮城大学, 看護学部, 助教 (80700020)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Autonomic nervous system / Heart rate variability / Vaso-vagal reaction / Glycated hemoglobin |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、平成27年度に引き続き、本研究に同意が得られた術前貯血式自己血輸血に伴う自己血採血を受ける症例を対象に、測定を遂行した。本研究の採血量は、総循環血液量あたり約10%の血液量の減少であるが、これまでの研究の成果により、この量では心拍数や血圧は正常値から逸脱しないが、心拍変動解析によって非侵襲的に評価した自律神経活動では、循環血液量の減少に伴い、副交感神経活動の減少と交感神経活動の増加を認めることを明らかにできた。これにより、心拍変動に反映された自律神経活動の評価が、循環調節の早期指標として活用できる可能性が考えられた。これらの結果をふまえ、平成28年度は、血管迷走神経反射をはじめとする循環不全のリスク因子と心拍変動解析による自律神経活動との関連について、分析と検討を進めた。血管迷走神経反射のリスク因子のひとつに、初回献血があることが実態調査によって明らかにされてきたが、心拍変動解析を用いた本研究においても、献血経験群と比べ、初回献血群の自律神経活動に特異的変化があることが観察できた。また、近年世界的な増加を認める生活習慣病の中で、血糖状態に着目して検討を行った結果、循環血液量減少時の自律神経活動に、血糖状態が影響を及ぼしていることが観察された。このことから、循環動態のモニタリングにおいて、心拍変動に反映された自律神経活動の評価が、血管迷走神経反射をはじめとする循環不全を未然に防ぐ上で、アセスメントの指標のひとつとなると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、自己血採血を行う者を対象に検証を行っており、疾患により手術件数が少ない時期があったが、研究協力施設との連携を強化してデータ収集を行っている状況である。これまで蓄積したデータは解析と検討を進め、得られた結果について国際学会での発表を行い、論文を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
関連文献の検討を行い、得られた結果について、さらに国内外の学会での発表と論文を執筆する予定である。また、今回の結果を踏まえ、応用研究を計画している。
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Causes of Carryover |
本研究は、自己血採血を行う者を対象に検証を行っているが、疾患により手術件数が少ない時期があり、予定より必要症例数の達成度がやや遅れたことが次年度に使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力施設との連携を強化し、引き続き研究対象者の確保に努めていく。また、これまでの研究成果について、関連学会での発表ならびに論文を執筆する予定であり、その必要経費に使用する。
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