2015 Fiscal Year Research-status Report
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26861913
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
山本 洋行 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (00581175)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | がん薬物療法 / 抗がん剤治療 / 抗がん剤曝露 / 患者家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨今、がん薬物療法における職業性曝露予防は注目されるトピックとなっており、2015年7月には抗がん剤による職業性曝露に関する3学会合同ガイドラインも発刊され、ますますその注目度は上がっている。しかし、その議論の焦点は、抗がん剤を取り扱う医療従事者が中心となっており、患者の家族や、医療従事者の家族など、抗がん剤への曝露機会が少ないと考えられる対象に関しての言及は少ない状況である。しかし、抗がん剤を取り扱う医療従事者やがん薬物療法を受ける患者からの間接的な曝露は否定できず、どの程度の抗がん剤への曝露ならば健康被害に至らないかエビデンスもないため、可能な限り曝露をなくす対策を講じる必要性があると考えられる。 当該年度においては、アジア諸国における曝露対策の知見を得るためAONS2015に参加した。また、3学会合同ガイドラインに沿った臨床での対応について再検討するとともに、患者・家族らへの抗がん剤曝露予防指導の実態を明らかにする目的で、がん診療連携拠点病院1施設の抗がん剤を取り扱う看護師を対象に質問紙調査を実施した。本調査は、がん化学療法看護認定看護師らと協働で行った。対象者数は、475人であり回収率65%(n=308)であった。結果の詳細は分析中であるが、調査施設では患者・家族らへの抗がん剤曝露予防指導を十分実施できているとはいいがたい状況であり、看護師の抗がん剤曝露対策も所属部署ごとに差はあるが、十分意識した日常業務の遂行に至っているとは言い切れないものであった。そこで、本調査結果を基に、調査施設の抗がん剤曝露対策マニュアルの改訂を行い、患者・家族らへの指導について検討していく予定である。なお、本調査の結果については、第31回日本がん看護学会学術集会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた研究計画の実施において得ようとしていたアウトカムについて、先行研究による発表があった(Michiko Y, et al. Secondary Exposure of Family Members to Cyclophosphamide After Chemotherapy of Outpatients With Cancer: A Pilot Study. Oncology Nursing Forum, 42(6)2015.)そのため、同様の結果を集積するよりも具体的な対応策についての検討を行うための研究方針の転換を図ったため、上記区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、がん薬物療法を受けた患者の排尿において、座位で実施することがガイドライン等でも推奨されているが、男性が立位で排尿した際に、どの程度の濃度で抗がん剤を含んだ尿が周囲環境に飛散するかをシミュレーションし、その結果について確認する臨床研究を予定している。また、具体的な対応策の検討として、抗がん剤に汚染された環境表面における拭き取りの効果的な方法の検討を行う実験を予定している。これにより、例えば、がん薬物療法を受ける患者の自宅トイレを清掃する際に、どのような方法により実施するのが効果的であるか具体的な方法の提案をしたい。この研究を通して、一番患者家族が曝露する機会の多いと考えれる自宅トイレ環境における曝露予防策の確立の第一歩としたい。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた研究内容により得られるアウトカムに関して、同様の先行研究が発表された。そのため、再度研究実施計画を修正したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、再度研究実施計画を修正した結果、実験と臨床研究の2本を実施予定である。どちらもサンプリングシートを用いた実験であり、シオノギ分析センターへの分析委託を予定しているため、そのための費用に充てる予定である。
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