2014 Fiscal Year Research-status Report
早産児の親とともに行う生後早期の発達支援の展開と評価・支援モデルの考案
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26861915
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
仲井 あや 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (30612197)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Developmental Care / Early Intervention / Family Centered Care / 早産児 / NICU / 早期介入 / 対処行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.文献検討 早産児の生理機能、運動機能、睡眠‐覚醒、注意集中に関する機能、発達予後について文献検討を行った。また、早産児の親の経験や心理過程、親子の相互作用に関する文献検討を行い、知見を整理した。とくに、NICU退院後の継続的な介入プログラムを受けた親子の評価において、母親は子どものことを過敏性や混乱は少なく幸福であると捉えながらも、自身は社会的孤立を感じていた(D.E.Meijssen,et.al,2010)ことが報告されていると分かった。また、親子への介入方法は施設により様々であり、その成果も一定したものではないことなどから、新たなプログラムの統一が求められていると分かった。文献検討を踏まえ、今後は親と子、双方への影響を考慮した発達支援プログラムの構築が必要になると考えられた。 2.資格取得に向けた研修 本研究の目的達成に向け、より客観的な行動観察の指標を得るために、新生児・早産児行動評価法(Assessment of Term and Preterm Infant Behavior: APIB)の研修を継続している。平成26年9月には、米国コロラド州にあるトレーニングセンター(Colorado NIDCAP® Training Center)の指導者による中間評価を受け、APIB評価の手技と観察の視点を修正した。中間評価の前後では、現在までに13名の新生児の協力を得て、国内の病院にて自己トレーニングを継続中である。今後、平成27年8月には指導者による評価を受け、資格認定を目指す。 3.研究計画の変更、データ収集 研究を進めるために、研究計画を2段階に分けて修正した。第1段階の計画では、観察のみでデータ収集実施する時期に焦点を当てた。第1段階の研究計画について、平成27年2月に研究者所属機関の倫理審査委員会の承認を受け、平成27年4月よりデータ収集を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画書に沿って、おおむね順調に進展していると言えるが、新生児・早産児行動評価法(APIB)資格認定には多くの新生児の協力による自己トレーニングの継続と、指導者との評価の一致が条件とされていることから、資格取得までに時間を要している。このため、研究目的の達成度はやや遅れていると言える。この状況を踏まえ、現在は研究計画を2段階に分け、まずはAPIBの評価を用いない方法でのデータ収集を開始した。今後はこれらの成果をまとめて生後早期の発達支援モデルの考案に向けた基礎資料とするとともに、APIBの資格認定後には、これを用いて支援モデルを精錬させることを目指す。また、研修を継続し、資格の早期認定を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
1.資格取得に向けた研修:平成27年4~8月までは自己トレーニングを継続し、平成27年8月には指導者による評価を受け、資格認定を目指す。認定を得られない場合は8月以降も研修を継続し、平成28年3月に指導者による再評価を受け、資格認定を目指す。 2.研究計画の変更:研究計画を2段階に分け、平成27年度に第1段階、平成28年度に第2段階を実施するよう計画を変更する。対象条件は変更せず、第1・2段階ともに同じ条件とする。第1段階の計画では、早産児が修正33週0日~35週6日のときに保育器の前で親子の関わり場面に同席させてもらい、子どもの行動への親の気づきと関わりに着目して観察と面接を実施する。加えて、修正36週0日~37週6日の間に、個室にて母親と父親への面接を実施し、観察データを補う。第2段階の計画では、データ収集期間を33週0日~40週6日(または、退院前)とし、行動観察とAPIBを用いた介入・評価、および親への面接を実施する。 3.データ収集と分析:第1段階の研究では対象ケース3~5組を目標とし、第2段階でも3~5組を目標とする。研究計画に沿い、第1段階の研究では、早産児の行動への親の気づきと関わりを質的に分析する。第2段階の研究では、発達支援の過程を早産児の行動・親の関わり・支援展開に着目して個別に整理するとともに、データ間の関連性を考慮しながら全体分析を行う。また、親への面接記録を質的帰納的に分析し、親とともに行う生後早期の発達支援の親子にとっての意味を明らかにする。 4.研究成果の発表と施設への成果還元:平成28年7月の日本小児看護学会第26回学術集会において成果発表を行うことを目標とする。平成28年度末までには文献検討のまとめ、および本研究の成果についてそれぞれ論文にまとめて報告する。また、別途報告書を作成し、研究協力施設および対象者への報告を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度には、研究に用いる評価法の資格認定に向けた研修を中心に実施した。研修には多くの時間を必要とするため、データ収集開始時期が予定より遅くなり、研究データ取集のための交通費支出や、協力者への謝金にかかる支出が生じなかった。次年度は、研究のデータ収集を開始するため、交通費、謝金への資金を必要としている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ収集のための交通費、および、研究協力者への謝金のために使用する。
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