2014 Fiscal Year Research-status Report
小児臓器移植に対する看護師の倫理的抵抗感・心理的葛藤に対する支援システムの構築
Project/Area Number |
26861934
|
Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
水谷 あや 三重県立看護大学, 看護学部, 助手 (30646667)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 小児脳死臓器移植 / 倫理的葛藤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2010年に施行された改正臓器移植法により可能となった小児脳死臓器移植に際し、臓器移植施設において、看護の対象としてドナーおよびレシピエントの両者を含むことが考えられる病棟に勤務する看護師の、小児脳死臓器移植に対する倫理的葛藤を明らかにし、看護師に対する効果的な支援を明らかにすることを目的としている。 平成27年1月に新たに1件の15歳未満の脳死判定が行われ、法改正後の7例目の小児脳死臓器移植が行われた。 平成26年度は、臓器移植法改正前後から7件の移植が行われた現在に至るまでの倫理的な問題や医療従事者の認識調査および、症例報告や実態調査に関する文献検討を行った。さらに、小児長期脳死患者に関する症例や、長期脳死の子どもを持つ家族の現状などの、臓器移植に関わらない脳死状態の小児に関する文献検討を追加した。これらの検討を重ねることによって、症例を重ねるごとに浮き彫りとなる小児脳死臓器移植の現状に即したインタビュー調査を行うための、インタビューガイドにおける項目作成を試みた。 また、実際に7例の小児脳死臓器移植において脳死判定および臓器移植が行われた6施設の特徴や、長期脳死の小児患者の症例報告がなされた施設の特徴を踏まえて、小児脳死臓器移植のドナーおよびレシピエントの両者が看護の対象となる可能性がより高いと考えられ、小児脳死臓器移植の実態を踏まえたインタビュー調査が行える施設を調査対象施設として改めて選定を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は小児の臓器移植施設において、ドナーおよびレシピエントの両者を受け入れる可能性のある病棟に勤務する看護師に対して、日常的な看護現場において小児脳死臓器移植を想起することや、実際に小児脳死臓器移植に関わる際に生じる倫理的葛藤等に関するインタビュー調査を行う計画であった。 実際の小児脳死臓器移植件数が10件に満たないこと、看護師の看護観や倫理観を大きく揺さぶる内容であること等により、実際のインタビュー調査に先立つ調査施設の再選定や調査内容に関する検討および当該施設における倫理委員会への申請に時間を要し、現時点ではインタビュー調査に関する準備の段階であるため、やや遅れていると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
①今後は、速やかに当該施設の倫理委員会への申請を行い、インタビュー調査を開始する。また、本来今年度当初より取り掛かる予定であった倫理的葛藤に関するアンケート調査においては、インタビュー調査の開始時期の遅れに伴い遅れることが予測されるため、小児科医および小児専門看護師によるスーパーバイズを受けてアンケート草案の作成をインタビュー調査に並行して行う。 ②インタビュー調査の結果をもとに、アンケート草案を修正し実際の調査・分析を行い、小児脳死臓器移植施設における看護師の倫理的葛藤に対する効果的な支援に関する示唆を得る。 ③小児脳死臓器移植に関する看護師の倫理的葛藤に関する支援を一部実施し評価する。
|
Causes of Carryover |
平成26年度に実施予定であったインタビュー調査が予定よりも遅れているため、今年度の実支出が予算を大幅に下回る結果となっている。次年度は平成26年度に再度選定を行った調査施設へ赴き、実際のインタビュー調査を行い分析を進めるとともに、従来の予定通りアンケート調査を並行して行う計画である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の使用計画概要としては、インタビュー調査・アンケート調査および分析に係る費用と、小児脳死臓器移植体制や移植医療先進国におけるドナーアクションプログラムの実態、小児長期脳死患者の実態や倫理的問題への対処方略などの調査に係る費用に大別する。 物品費としては、インタビュー調査・アンケート調査に必要な印刷用紙や記録媒体等の消耗品や、収集データの管理および分析等に使用する予定の電子機器を、旅費としてはインタビュー調査・アンケート調査および、実態調査に関する旅費を、人件費・謝金として、研究協力者への謝金や、逐語録等の作業を部分的に委託するための経費等を主に計画している。
|