2014 Fiscal Year Research-status Report
医療的ケアが必要な在宅重症児のきょうだい支援に関する基礎的研究
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26861938
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
古屋 悦世 北里大学, 看護学部, 助教 (00458754)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | きょうだい支援 / 在宅重症児 / 医療的ケア / 母親 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は3段階で構成され、当該年度は第1段階の研究と位置付け、医療的ケアを要する在宅重症児のきょうだい支援に関する母親のニーズ実態調査に取り組んだ。 当該年度の研究を進めるにあたり、研究者の所属機関の研究倫理委員会より承認を得た。研究対象は医療的ケアを要する重症児と幼児期から青年期までのきょうだいを養育している母親とした。特別支援学校や療育センター等の関係機関の協力を得て公募し、2つのグループに対してインタビューを実施した。グループ編成の際は、きょうだいの出生順位を考慮した。分析は、グループダイナミクスと個人の文脈を明確にし、個人とグループ間の相互作用を考慮しながら質的にデータ分析をおこなった。 結果、対象は平均43歳(36-52歳)の母親12名であった。重症児の年齢は平均11.1歳(3-17歳)、医療的ケアは気管切開が2名、胃ろうからの経管栄養が10名、経鼻からの経管栄養が2名、導尿が1名であった。きょうだいの年齢は、平均12.1(0-21)歳であった。 きょうだい支援の実態は、3つの領域に分類された。1つ目は【家族・仲間とのつながり】、2つ目は【社会とのつながり】、3つ目は【将来への願い】であった。そして、このきょうだい支援の実際と将来への願いの背景に各々が持つ【きょうだいに対する子育て観】がベースになっていることが明らかになった。母親が必要としているきょうだい支援である【将来への願い】の具体的内容は、[母親同士が語り合える場]、[入院・通院時もきょうだい一緒にみてくれるシステム]、[入院・通院時もきょうだい一緒にみてくれるシステム]、[きょうだいもサービス受給できる社会に]、[身近なきょうだいの会の存在]、[安心して預けられる施設とサービスの充実]、[体験者にしかわからない思いを社会にも理解してもらいたい]であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度はおおむね計画通りに、グループインタビューとその分析を実施することができた。当初、グループインタビューはきょうだいの発達段階ごとに実施予定であったが、研究対象者公募の結果、研究協力者数が予定数を下回ったため、きょうだいの出生順位で区別したグループインタビューを実施した。インタビュー回数は少なくなったが、グループインタビューの利点をいかし、各発達段階の特徴についても明らかにすることができた。 現在は、グループインタビュー結果の分析を進め、質問紙調査に向けて質問紙調査項目を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、本研究の第2段階に位置づけ、平成26年度の調査分析結果を基にした質問紙調査表を作成し、医療的ケアが必要な在宅重症児のきょうだい支援に関する母親のニーズや支援の実態について質問紙調査をする予定である。 5月にはアメリカで開催される“Sibling Workshops and Sibshop Facilitator Training”に参加し、現在北米で実践されているきょうだい支援プログラムの実際とファシリテーターのトレーニングシステムについて情報収集し、知見を広めてくる予定である。
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Causes of Carryover |
研究動向を調査するための学会・研究会等参加に必要と見込んでいた旅費額が当初の想定額を下回ったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は研究成果の発表と研究者との交流、最新の研究動向を把握するための学会・研究会等参加旅費として使用予定である。
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