2015 Fiscal Year Research-status Report
妊娠期の口腔ケア管理システムの構築-妊娠初期のつわりの重症度別口腔ケアの確立-
Project/Area Number |
26861946
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鈴木 紀子 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 助教 (70460574)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 妊婦 / 歯肉炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に作成したOral Diary(妊婦の口腔内状態を記録する日記及び歯科検診結果を記録するもの)を研究協力2施設において配布した。Oral Diaryは妊娠20週頃まで継続して記入してもらい、その間妊娠初期と妊娠中期に2回歯科検診を実施した。Oral Diaryの記載内容と、歯科検診の結果から、妊婦の口腔内状態について分析した。 174名分のOral Diaryを回収した。妊娠初期の歯科検診の時点で、174名全員が歯肉炎と診断された。つわり症状である嘔吐の有無によって歯肉炎の罹患率に違いがあるのではと考えたが、本結果から嘔吐の有無に関わらず妊婦は妊娠初期から歯肉炎であることが明らかとなった。さらにその状態は妊娠中期まで継続していた。ブラッシングは嘔吐の有無に関わらず平均2回/日実施していた。含嗽実施状況では,「嘔吐有」平均2.1回/日,「嘔吐無」平均1.2回/日であり,「嘔吐有」の方が有意に含漱回数は多かった(p<0.001)。「唾液の分泌量」では嘔吐の有無に関わらず非妊娠時と比較して増加したと感じていたが,「嘔吐有」の方が有意に分泌量は増加したと感じていた(p<0.001)。「唾液の粘性」については,嘔吐の有無に関わらず粘性が高くなったと感じていた。また,「口臭」では「嘔吐無」は気にならないと感じているが、「嘔吐有」では気になると感じていた。唾液の粘性、口臭においてはいずれも嘔吐の有無による有意差はみられなかった。以上の結果から、妊娠初期からの妊婦の口腔内の実態が明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊娠初期から中期にかけての妊婦の口腔内の実態が明らかとなった。当初の計画では昨年度中に妊婦の口腔ケア管理に必要なマニュアルを作成し介入する計画であった。しかし、昨年度は妊婦の口腔状態の実態を明らかにし、関連学会にて発表してきた。これまでの研究結果及び学会発表時に得られた意見もふまえ、今年度にマニュアルの作成は可能と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに得られた結果をもとに、妊娠初期からの妊婦の口腔ケアに関するマニュアルを作成し、妊婦の口腔ケア管理システムを構築できるよう検討していく。
|
Causes of Carryover |
当初の計画では妊婦の口腔ケアマニュアルを作成する予定であったが、マニュアル作成が今年度になったため、その分の差額が生じている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は妊婦の口腔ケアマニュアルを作成していくこと、そして海外への論文投稿を計画しており、その分の研究費となる予定である。
|