2015 Fiscal Year Annual Research Report
急性期病棟での「高齢患者に対する身体抑制ゼロ」に向けた看護のモデル化
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26861955
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
森 万純 大分大学, 医学部, 助教 (60533099)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高齢者看護 / 急性期病棟 / 身体抑制 / 看護のモデル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
「高齢患者に対する身体抑制ゼロ」に向けた看護の具体的方法を明らかにするために、身体抑制を最小限にする看護を行っている一急性期病棟の三事例を参加観察した。また、各事例に関わった看護師とセラピストを対象に、フォーカス・グループインタビュー(以下、FGI)を60~90分各1回実施した。内容を逐語化し、看護師およびセラピストの身体抑制における考えや関わりの実際を表している発言を抽出し、内容整理・分類を行った。 身体抑制実施および解除を検討する状態として、看護師は吸引等の医療処置時の患者の反応(ルートを引っ張る動作)や手指の巧緻性・上肢の可動性、精神状態を観ていた。セラピストは、リハビリテーション中の精神状態や上肢の可動域を評価し、触れるケアや患者の訴えを傾聴した後に抑制を解除していた。 できる限り抑制しないケアとして、看護師は訪室時やケア時に必ず解除する時間を確保していた。特にミトンを使用する場合は、皮膚の清潔保持やストレス緩和を目的として、週数回手浴を実施し、また、できる限りスタッフが多い時間帯に経管栄養を実施できるようなケアの時間帯を検討した上で、経管栄養注入中は必ず患者に付き添い抑制しない関わりを行っていた。経鼻チューブの自己抜去に対しては、病棟管理者を含め看護師全員が、注入中でなければ抜去は問題ないという共通認識を持っていた。さらに、抑制開始初期は2~3日毎に看護チームでカンファレンスを行い、患者の言動と行動の観察および評価により抑制解除や苦痛緩和に向けたケアを常に検討していた。 多職種によるFGIの実施により、参加者はそれぞれが患者の思いや各職種のケアの実際・意図を知り、リハビリテーション科と病棟看護師とのタイムリーな情報交換や情報共有の必要性と課題を述べていた。この結果をもとに、「高齢患者に対する身体抑制ゼロ」に向けた看護のモデル作成を継続していく予定である。
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Research Products
(2 results)