2014 Fiscal Year Research-status Report
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26861962
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Research Institution | Ehime Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
小西 円 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 助教 (30616131)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 施設高齢者 / 仮眠 / 睡眠 / 活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、施設に入所している高齢者(以下、施設高齢者)の生活の中に、定時的に30分程度の短時間仮眠を取り入れ、日中の眠気を計画的に管理することにより、眠気や睡眠障害によるBPSDの悪化の軽減を図り、施設高齢者の生活の質を高めることを目的としている。そして、今回、施設高齢者の仮眠の実態を捉え、仮眠所要時間による特徴や夜間睡眠への影響を明らかにした。 調査対象者は、X県内の高齢者施設に入所している65歳以上の高齢者のうち意思疎通が可能、自力歩行が困難であり車イス使用中、7日間の連続調査が可能の条件を満たす者とした。 協力者にアクティグラフ(AMI社製)を装着し、睡眠変数、仮眠変数、仮眠時間後の活動量を測定した。また、療養記録から年齢、NMスケール、BI、眠剤使用の有無を調査した。そして仮眠変数から、全く仮眠を取らなかった者(以下、仮眠なし群)、30分未満の仮眠を取った者(以下、30分未満群)、30分以上の仮眠を取った者(以下、30分以上群)に分け、それぞれの変数と比較した。本研究は、愛媛県立医療技術大学研究倫理委員会の承認後、対象者と主介護者の同意を得て実施した。 対象者は30名(男性8名、女性22名)、平均年齢は85.4±8.2歳であった。3群間において、仮眠後の活動量(p=.009)に有意差が認められたため、Mann-WhitneyのU検定を行ったところ、30分以上群は、仮眠なし群(p=.000)、30分未満群(p=.009)に比べて仮眠時間後の活動量が少なかった。ここから、仮眠の有無や長短は施設高齢者の夜間睡眠に影響を与えず、仮眠の長短は、施設高齢者の仮眠後の活動量に影響を与えることが明らかになった。そして、対象者の希望に応じて、短時間の仮眠を取り入れることは、夜間の睡眠に影響を与えることなく、生活の質を高めるケア方法の1つになりうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、介護施設に入所する高齢者に協力をしていただき仮眠の実態調査が行えた。今後、計画通り仮眠を取り入れた介入研究を行い、それらと夜間睡眠や日中の活動、BPSDへの影響を分析していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策 H27年度以降は、20~30名の施設高齢者に協力をしていただき、短時間仮眠を用いた介入研究を行う予定である。睡眠変数や仮眠変数の測定にはアクティグラフを使用し、睡眠変数(総睡眠時間、中途覚醒回数、睡眠効率、入眠潜時)、仮眠変数(総仮眠時間)、活動量(sleep/wake量)、BPSDの程度を介入群と対照群の比較を行っていく。 そして、高齢者施設における効果的な仮眠を取り入れたケアシステムの開発についての検討を始める準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初、数か所の研究施設での調査を予定していたが、一か所で十分調査が行えたため、交通費を抑えることができた。また、アクティグラフを購入する予定であったが、現存の物で調査可能であったため、H27年度の介入研究を行う際に購入することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度は介入研究を行うため、それに伴う物品購入(アクティグラフ)や協力者へお礼、交通費等に研究費を使用していく。 また、昨年度の研究成果の発表や論文投稿、今年度の研究成果の発表のための事務費や交通費に研究費を使用する予定である。
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