2014 Fiscal Year Research-status Report
生活の中での継続的な役割発揮による認知症の進行予防効果の検討
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26861966
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山上 徹也 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 講師 (60505816)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知症 / ケア / 役割 / 残存能力 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症高齢者の残存能力を活用し、対象者の「役割」をケアに取り入れた「能力活用セラピー」を実践しているグループホームに研究者が出向き、利用者の生活の観察と職員からの聞き取り調査を実施した。その結果、該当施設では対象者の現在の役割と今後の取り組みに関する評価シートを各対象者に関して、担当スタッフが定期的に実施していることが判明した。その評価シートは「働く」と「楽しみ」の2大項目から成り、「働く」は「年間行事」、「炊事」、「掃除」、「畑」、「洗濯」、「買い物」、「子どもの世話」、「裁縫」、「その他」、「社会参加」の10の下位項目、「楽しみ」は「会話・交流」、「行楽・散策」、「趣味・娯楽」、「マスメディア接触」、「社会参加」の5の下位項目から構成され、各項目は具体例が記され、それを参考にして評価できるシートとなっていた。実際生活を観察したところ、掃除、食器洗い等の炊事など認知症高齢者の方が、スタッフの指示なしで自発的に実施していた。一方で認知症高齢者に役割を実施してもらう場合、能力の低下や変動を考慮し、細かな評価に基づき、できる役割を提供する必要がある。また家事や子守りなど認知症高齢者が役割を発揮する場面が生活の中で用意されていることが重要である。そして屋内だけの活動に留まらず、地域で活動することが重要であり、地域社会の認知症の理解も欠かせない。このように認知症高齢者が役割を発揮し、活動的な生活を送ることで、介護度等が維持・改善する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、認知症高齢者が生活の中で役割を発揮するために必要な要素として、細かな評価や役割発揮のための環境整備が必要であることがわかった。当初の計画では次年度実施予定の介入へ向けて、「認知症高齢者の役割発揮事例集」を作成予定であったが、事例が少なく、事例集を作成できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
認知症高齢者が役割を発揮するための評価シートの導入と環境整備による、活動性の向上や機能の維持・改善効果等を検討予定である
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Causes of Carryover |
本年度は観察・聞き取り調査に留まり、本格的な介入調査に入れなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は本格的な介入調査に入る予定であり、その際、対象者がどのような活動、役割を果たしたのか、介護記録から抽出できるシステムを構築予定であり、その開発費用に使用する予定である
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