2014 Fiscal Year Research-status Report
クリティカルケアにおける一方通行の言語コミュニケーションモデル構築に関する研究
Project/Area Number |
26861968
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
阿部 美香 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (90708992)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | クリティカルケア / 看護師 / 言語コミュニケーション / 概念分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【意義と目的】本研究は、クリティカルケア領域において、患者の一番身近にいる看護師が身体的ケアと並行して簡便に実践できる精神的ケア技術を開発することを目指している。当研究はその基盤として、クリティカルケア領域の意志疎通困難な患者に対して看護師が行う「一方通行の言語コミュニケーション」の概念モデルを考案し、精神的ケア技術として確立し得るか検討する。初年度である平成26年度の研究目的は、既存の文献を用いて「一方通行の言語コミュニケーション」という現象の構造と機能を明らかにすることとした。 【対象】対象は一方通行の言語コミュニケーションに関する国内外の文献である。 【方法】文献検索のデータベースはCINAHL、PsycINFO、PubMed、Cochrane Library、CiNiiを用いた。キーワードは「言語コミュニケーション」「声かけ」「聴覚刺激」「接近行動」「あやす」「あいさつ」「指示」とそれらの類義語を用い、言語は日本語と英語、検索年は過去10年間に制限した。分析は、Walker&Avantの概念分析の手法を用いて行うこととした。 【結果】分析の目的は、「クリティカルケア領域の意志疎通困難な患者に対する看護師の一方通行の言語コミュニケーションは精神的ケア技術として確立し得るかを明らかにすること」と定めた。検索の結果、30編あまりの国内外の論文および著書を入手した。現在、文献をもとに「一方通行の言語コミュニケーション」という概念のあらゆる用法を検討中である。今後、定義的属性を確定、モデル例および境界例、関連例、相反例、考案例、誤用例を作成し、さらに、先行要件と帰結を確定して経験的指標の定義をする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、平成26年度は、文献による概念分析を終了させる予定であった。しかし、現在分析中であり、まだ定義の確定に至っていない。 「一方通行の言語コミュニケーション」に関する文献は、看護には少なく、心理学、医学、育児、情報、文化の分野へと多岐に渡っていたため文献検索に難航したことと、参考文献が論文だけではなく書籍が多かったこと、洋書も含まれていたことから精読に時間を要したことが影響したと考えられる。 しかし、看護のみならず様々な領域の知見を用いて多角的視点で概念の検討を繰り返すことは、分析の妥当性を高めるために重要であり、今後、当研究の結果を基盤にして看護での活用の可能性を検討することも考慮すると、現段階において意義のある過程であったと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、現在遅れている文献を用いた概念分析を早急に完結させるために専門家のスーパーバイズを受ける。同時進行で、当初の計画であるフィールドリサーチの準備を開始する。 フィールドリサーチでは、クリティカルケア領域の看護師が認知している「一方通行の言語コミュニケーション」という現象を明らかにするために、クリティカルケア領域で勤務する看護師にインタビューを行う。質的に分析し、現象の構成要素と影響する要因、それらの関係性を抽出する。さらに、その結果と文献による概念分析の結果を照らし合わせ、クリティカルケア領域における意志疎通困難な患者に対して看護師が行う一方通行の言語コミュニケーションモデルを考案し、それは精神的ケア技術として確立し得るか検討する。
|
Causes of Carryover |
平成26年度は知見を得るために参加を予定していた学術集会に参加できなかったことが影響して余剰金が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の使用計画は、当初の計画通りである。 インタビュー調査を行う予定であるため、調査交通費と対象者への謝金が必要である。インタビューで得たデータは専門業者に依頼して逐語録に起こすため逐語録作成料が必要となる。データ分析を効率的に進めるため、専用で使用するノートパソコン購入費、資料整理に活用する文房具代を計上した。研究内容や研究方法に関連する図書購入費は必須である。成果は学会誌に投稿および学術集会で発表する予定であるため英文校正費、学術集会参加費・旅費が必要である。 平成26年度の余剰金は学術集会および研修で知見を得るために合わせて使用する予定である。
|